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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.1 No.1 January 1996

多剤耐性結核菌の院内感染

William R.Jarvis
Nosocomial transmission of multidrug-resistant Mycobacterium tuberculosis.
Am.J.infect.Control,23(2):146-151,1995

アメリカ合衆国の結核発生率は減少傾向から逆転し、現在は増加傾向にある。
1989年から1992年の4年間に、結核菌による8つの院内感染が発生した。その疫学的な調査結果と、3つの病院で施行された院内感染対策の効果について報告する。

8つの発生のほとんどは、HIV感染患者に合併した多剤耐性の結核菌感染であり、多くの患者と死者を出した。関連する要因は多々あったが、発生の確認・治療・隔離、それぞれの遅れが深く関与していた。隔離については、隔離室数の不足、隔離室が陰圧でないこと、患者のマスク不着用、医療従事者の呼吸器防御の不適切さなどが関係していた。

3つの病院で行われた多剤耐性結核感染の対策は、1990年のCDCの結核ガイドラインの概要に沿うものであった。調査期間中に空調設備などの工学的な方策はほとんどなされなかったため、それ以外の管理上の対策について検討した。その結果、それだけでも患者間の多剤耐性結核感染を減少させ得ることが証明された。また、サージカルマスクの着用や空調設備の設置などが、医療従事者の職業感染の危険性を減少させることが示唆された。

1994年10月、CDCは「医療機関における結核感染予防ガイドライン」を刊行した。内容は1990年の勧告に加えて、高性能エアフィルターを用いた空調設備の充実や医療従事者のカウンセリング、教育の強化などを含んでいる。

今回の研究は、現在行われている結核感染制御対策を早急に見直す必要があることを示唆した。今後、最も効果的で経済的な結核対策が追及されなければならないが、現在においては、1994年のCDC結核ガイドラインを敏速かつ完璧に実施することが、結核の院内感染や職業感染の減少に効果的に働くと思われる。(訳:西岡みどり)

Carlisle Vol.1 No.1 p8-10 January 1996

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