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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.1 No.3 September 1996

バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌:制御対策の必要性の観点から

Edmond,M,B.,wenzel,R.P.&Pasculle,A.W.
Vancomycin-Resistant Staphylococcus aureus:perspectives on Measures Needed for Control.
Ann.Intern.Med.,124:329-334,1996.

バンコマイシン耐性腸球菌の発生の急増と、腸球菌から黄色ブドウ球菌へのバイコマイシン耐性の移行が実験的に証明されたことにより、バンコマイシン耐性を有する黄色ブドウ球菌が、いずれ出現するであろうと考えられるようになった。それは、効果のある化学療法が何もない、最悪の病原菌の出現ということである。そのような微生物による病院感染を予防するためには、厳しい感染制御対策が開発され、実行されなければならない。

黄色ブドウ球菌の伝播と制御についての限られたデータを基に、保菌または感染した患者の隔離、および微生物検査室プレコーションに関する、正式なガイドライン開発へ向けての、出発点として用いられうる提言を示す。

実際にバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症例が入院した場合は、個室に隔離する。医療従事者の入室時はガウンと手袋を使用する。菌が飛散するような処置をする場合は、マスクとゴーグルを用いる。器具は専用にする。ハウスキーピング職員の教育を行い、清掃を徹底する。患者の退院時は環境検査が陰性になるまで、次の入院患者を入れずに、閉鎖しておく。感染既往のある患者の再入院時には、培養結果が出るまで、個室に収容隔離しておく。

患者の検体は密閉して運ぶ。微生物検査室では、検査技師は2人組みで役割分担をし、検体の密閉性を保ちながら菌の同定をすすめる。菌株を保存する場合には、-70℃で凍結し、限られた職員のみが取り扱うようにする。

感染ガイドラインは通常、問題の発生に応じて作成される。しかし、バンコマイシン耐性腸球菌の正式なガイドラインが発表されたのは、最初の感染症例が報告されてから数年後のことであった。したがって、そのような病原菌が出現する前に、詳細に検討された対策方法を作っておくことが肝要である。(訳:西岡みどり)

Carlisle Vol.1 No.3 p8-10 September 1996

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