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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.1 No.4 December 1996

MRSA院内発生期間中の接触隔離contact isolationの効果

Jernigan,J.A.et al.
Effectiveness of contact isolation during a hospital outbreak of methicillin resistant Staphylococcus aureus.
Am.J.Epidemiol.,143:496-504,1996.

接触隔離contact isolationは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の病院感染防止のために、疾病予防センターCenters for Disease Control and Prevention(CDC)によって推奨されてきた対策である。しかし接触隔離の、この目的についての効果を前向きに調査した量的なデータはほとんど無い。

1991年7月18日から1992年1月30日の間、NICUで発生したMRSAのアウトブレイクについて、毎週すべての患者の細菌培養検査を行った。331例に入院患者のうち、16例にMRSAが定着しており、うち3例(19%)は感染(菌血症、結膜炎および透析カテーテル部位の感染)していた。この16例の患者から分離された菌について、遺伝子構造の解析(plasmid profile analysis と restriction enzyme analysis)を行った。患者の分離菌は、他の病棟の対照群からの分離菌とは異なり、独特な染色体構造を有しており、アウトブレイクは、単独の菌株によることが示唆された。また、144名の医療従事者についても、新たに菌が定着した患者との接触後に細菌検査を行ったところ、1人もMRSAは培養されなかった。したがって、医療提供者によって細菌が運ばれているというよりも、患者自身が細菌の温床になっていたと考えられた。個々の感染例における最も可能性のある原因は、時間と空間であった。

接触隔離下における患者からのMRSA感染率(0.009 transmissions per.day)は、接触隔離をしていない患者の感染率(0.140 transmissions per.day)より有意に低かった(relative risk=15.6,95% confidence interval5.3-45.6、P<0.0001)。

NICUでのアウトブレイクの際の接触隔離は、MRSA病院感染率を16分の1に減少させた。今回のデータは、接触隔離がMRSA感染の制御において効果的であることを示すこれまでの研究を裏付けることとなった。(訳:西岡みどり)

Carlisle Vol.1 No.4 p8-10 December 1996

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