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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.2 No.2 Summer 1997

ブラシを用いた手術時手洗いと消毒剤単独手洗いとの無作為比較試験

Loeb,M.B.,Wilcox,L.,Smail,F.,Walter,S.and Duff,Z.
A randomized trial of surgical scrubbing with a brush compared to antiseptic soap alone.
AJIC,25:11-15,1997.

健康成人15人を対象に、ブラシを用いた手術時手洗いと消毒剤単独手洗いとの比較を無作為、交差法で検討した。あらかじめ手洗い前にグローブジュース法にて細菌数を調べた後、①化学作用を呈さないブラシ(E-Zscrub747)を用い、4%クロルヘキシジン-イソプロピルアルコール溶液(scrub Stat4)15mlで5分間洗浄、②同じ消毒液15mlだけで5分間洗浄、のいずれかを無作為割り付け法にて行った。サンプルは手洗い直後とその45分後に採取した。実験は1週間のwash out期間の後に交差して行った。その結果、ブラシ手洗い45分後で細菌が検出された7人の被験者は、消毒剤単独洗浄45分後では細菌は認められなかった。3人ではその逆の結果であった(odds比率:2.3)。一方、5人の被験者ではブラシ手洗い45分後での細菌減少数が消毒剤単独でのそれよりも大きかった。他の5人では細菌減少数は両群に差はなく、残り5人では細菌の絶対数は消毒剤単独時の方が減少していた(消毒剤単独時のodds比率:1.0)。また、8人の被験者では45分後の細菌数の相対的減少がブラシ手洗い時より消毒剤単独時で、より大きかった。4人の被験者ではその逆であった(消毒剤単独時odds比率:2.0)。今回のデータではブラシを用いた手洗いと消毒剤単独手洗いでの細菌数の減少効果に顕著な相違は認められなかったが、odds比率から推察されるように、被験者の2倍程度の差をもってブラシ使用より消毒剤単独の方が細菌数減少効果は顕著であった。北米のほとんどの病院では、手術前手洗いには消毒剤をしみ込ませた洗浄用ブラシが用いられている。しかし、ブラシの使用により皮膚外層が除去され、深層の細菌群が露出され、細菌移送の増加が考えられる。皮膚への刺激などの因子、効果、および経済性の問題からも消毒剤単独での手術前手洗いは可能で、意義あると考えられる。(訳:仲川義人)

Carlisle Vol.2 No.2 p8-10 Summer 1997

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