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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.2 No.3 Autumn 1997

聴診器による院内感染源の可能性?

Marinella,M.A.,Pierson,C.and Chenoweth,C.
The Stethoscope-A Potential Source of Nosocomial infection?
Arch.Intern.Med.,157:786-790,1997.

院内感染は入院患者に重篤な危険性をもたらし、多額の医療費を要する。医療器具を介した院内感染が報告されているが、聴診器からもコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)が検出されたことが報告された。そこで、ミシガン大学医療センターの病棟とICUの医療従事者の40本の聴診器を用い、それに付着した病原菌と消毒剤の効果を調べたところ、CNSが100%、黄色ブドウ球菌38%、M.luteus35%、Bacillus45%など、11種類の菌が検出されたが、Clostridium difficileは検出されなかった。聴診器の隔板より、隔板を固定しているプラスチックの縁の方が平均コロニー数が多かった。また、医師の聴診器隔板のCNS数は看護婦のそれより有意に多かった。この原因として、医師が患者とより頻回に接触しているか、看護婦の方が聴診器をより頻回に清掃していることによると思われた。74人の看護婦と51人の医師を調査したところ、少なくとも毎日聴診器を清掃しているのは、看護婦55%、医師21%、と看護婦の方が多く、さらに、清掃時に聴診器を分解している割合は看護婦の方が多かった。また、他の40本の聴診器を70%イソプロピルアルコール(IPA)綿棒、5.25%次亜塩素酸ナトリウム(NaOC1)タオル、1:285塩化ベンザルコニウム(BAC)タオル、石鹸と水で各々消毒したところ、隔板において、未消毒時は菌が平均158CFUsであったのに対し、IPA0.2CFUs、NaOC1 0.1CFUs、BAC 0.6CFUs、石鹸と水47CFUsであり、縁においては各々289CFUs、2.2CFUs、50CFUs、56CFUs、95CFUsと、IPAが最も効果的であり、各消毒剤とも有意に菌数を減少したが、石鹸と水の場合は有意な減少は見られなかった。

また、3本の聴診器隔板を70%IPAで消毒し、M.luteusを接種し、被験者の前腕をポビドンヨードで3回、IPAで1回消毒した後に3秒押しつけ、前腕の菌を培養したところ、少量の菌が検出され、聴診器による細菌の伝播が示唆された。これらの結果より、医療従事者は定期的に聴診器をIPAで消毒することが勧められる。(訳:豊口禎子)

Carlisle Vol.2 No.3 p8-10 Autumn 1997

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