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US Update
アメリカ(CDC-MMWRより)
1997/07/11

バンコマイシン低感受性を伴うブドウ球菌感染の防止および制御のための暫定ガイドライン

CDC. MMWR July 11, 1997 / Vol. 46 / No. 27
Interim Guidelines for Prevention and Control of Staphylococcal Infection Associated with Reduced Susceptibility to Vancomycin より第1-2段落邦訳
ftp://ftp.cdc.gov/pub/Publications/mmwr/wk/mm4627.pdf

ブドウ球菌は市中および院内感染の最も普遍的な原因菌のひとつである。米国の多くの病院においては、生息するブドウ球菌(すなわち黄色ブドウ球菌またはコアグラーゼ陰性ブドウ球菌)がバンコマイシンを除くすべての抗菌薬に耐性である。米国においてまれな例としてバンコマイシン低感受性(最小発育阻止濃度 MIC≧8μg/mL)のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌による感染がある。*

*臨床検査標準全国委員会の判定基準: 感受性 ≦4μg/mLまたは ゾーンサイズ ≧12mm; 中間 8-16μg/mLまたは ゾーンサイズ 10-11mm; 耐性 ≧32μg/mL またはゾーンサイズ ≦9mm.

(第2段落)
1996年5月日本のある病院の一患者においてバンコマイシン低感受性(MIC=8μg/mL)の黄色ブドウ球菌の1株による感染が発生した。そのような感染は米国においては報告されていない。この日本の菌株はバンコマイシンに対して完全耐性(すなわちMIC≧32μg/mL)ではないが、この発現により完全耐性の菌株が発生する蓋然性が高まったといえる。バンコマイシンに完全耐性のあるブドウ球菌感染の発生は公衆衛生上深刻な事態を引き起こしかねないので、CDCおよび病院感染制御勧告委員会は暫定的なガイドラインをバンコマイシン低感受性のブドウ球菌を分離した場合の医療および公衆衛生上の対応を指示するため作成した。本報はこのガイドラインを次の方策を含めて記述する。1)バンコマイシン低感受性のブドウ球菌の発生する可能性を減少する方策。2)バンコマイシン低感受性のブドウ球菌の発生を認識する方策。3)バンコマイシン完全耐性ブドウ球菌による感染患者およびバンコマイシン中間耐性のブドウ球菌による感染患者で従来の療法が無効な場合の治療に用いることのできる開発中の抗菌薬について情報を得る方策。4)暫定的感染防止方法を実施する方策。 効果的に本暫 定ガイドラインを実施するため、医療機関は重要な部局や従事者の責務が明確に詳述された計画を本ガイドラインに基づいて作成しなければならない。

(この記事は全訳が出版されています。吉田俊介・小林寛伊訳、「緊急速報 バンコマイシン低感受性黄色ブドウ球菌に関するCDC勧告」 インフェクション・コントロール、1997年10月25日号、81-88ページ)

<訳註>
バンコマイシン耐性の腸球菌は米国において大きな問題となっていました(カーライル Vol.1 No.1 p9 参照)。バンコマイシン耐性がMRSAにも発現し得るという科学的な懸念も多く表明され(カーライルVol.2 No.1 p10参照)、予期的な予防ガイドラインまで提案されていました(カーライル Vol.1 No.3 p9 参照)。今回CDCは初めて公式にバンコマイシン低感受性の黄色ブドウ球菌の発見を認知しました。この発見の報告(順天堂大学平松先生による)は本コーナー1997.07.11aに掲載されています。ガイドライン中にでてくるコンタクトプリコーションについてはカーライル Vol.2 No.1 総説 p1-p3.をご参照下さい。なお本ガイドラインは日本においては単に参考となるものであり、公的な勧告や指示ではありませんので誤解の無いよう申し添えます。
MMWR:1997.07.11b / Yoshida Pharmaceutical Co Ltd: 1998.03.01

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