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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.3 No.1 Spring 1998

Mycobacterium tuberculosis 高度薬剤耐性株(W1株) の伝播-社会的感染と汚染気管支鏡を介した院内感染

Agerton,T.et al.
Transmission of a Highly Drug-resistant Strain(Strain W1) of Mycobacterium tuberculosis.
JAMA,278(13):1073-1077,1997.

1990年代に、ニューヨーク州の病院や刑務所において、多剤耐性結核菌感染が数回発生した。感染は数百人に及び、その多くはHIVの患者であり、死亡率は80%以上である。これらの発生のうち少なくとも6件は、W1株を含むW族株に属したMycobacterium tuberculosis菌によるもので、イソニアジド、リファンピン、硫酸ストレプトマイシン、塩酸エタンブトール、エチオナミド、リファブチン、硫酸カナマイシンの7薬剤に耐性で、治療が困難であった。ニューヨーク以外では、多剤耐性結核菌W株感染例は少なく、ほとんどが単発症例であった。しかし、1995年に発生した南カロライナ州の8人の患者から検出された結核菌がこれら7薬剤に耐性で、DNAフィンガープリントが一致(W1株)することを、1996年にCDCが報告した。そのうち5人は一般社会在住の患者(2人はHIV陽性、1人は腎移植後の患者、1人はアルコール中毒者)で、互いに疫学的に強い関連性を有しており、4人は同一家族で、3人は同居していた。家族でない1人も最初に感染した患者(症例1)の近所に住み、親しくしていた。症例1はニューヨークに居住していた時、W株による院内感染が発生した病院に入院しており、その後南カロライナに移住し、症状が発現した。症例1はサイクロセリンとオフロキサシンによく反応したが、他の4人は結核や他の原因により死亡した。症例5は症例1の家族であり、加療入院中に気管支鏡検査を受けており、それが院内感染源となった。症例5が気管支鏡検査を受けた1、12、17日後に同じ気管支鏡で検査を受けた3人の患者から、同じDNAフィンガープリントを呈した多剤耐性結核菌(W1株)が検出された。このうち1人は多剤耐性結核菌により死亡し、他の2人は症状もなく、多剤耐性結核菌に対する治療は受けなかった。この感染は気管支鏡の洗浄、消毒が不適切であったことが原因と考えられた。精力的な洗浄、消毒、70%アルコールによるすすぎ、乾燥、垂直に保管する等の注意が必要である。(訳:豊口禎子)

Carlisle Vol.3 No.1 p8-10 Spring 1998

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