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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.3 No.1 Spring 1998

気管支鏡光ファイバーによるヒト結核菌の伝播-DNAフィンガープリント法による同定

Michele,T.M.et al.
Transmission of Mycobacterium tuberculosis by a Fiberoptic Bronchoscope-Identification by DNA Fingerprinting
JAMA,278(13):1093-1095,1997

Mycobacterium(M.)tuberculosisの院内伝播は最近の薬剤感受性、および薬剤耐性の結核(TB)発生の重要な因子となっている。保健施設内でのTB伝播の要因としてはTB患者の隔離の不適切さ、換気の不十分さなどが指摘されている。

ところで、屈伸自在の光ファイバー気管支鏡はとても繊細な器具で、その洗浄の難しさ故に、長年感染拡大に関係があるとされてきた。特にミコバクテリアル汚染は、通常の消毒法に対して強い抵抗性を示す抗酸性桿菌である。ここでは汚染した内視鏡を介し、M.tuberculosisの院内伝播した事例を報告する。

患者(症例2)は、結核患者(症例1)が気管支鏡による検査を受けた2日後に、同じ病院で同様の方法で検査を受けており、その6カ月後に、この2つの検体培養が陽性であることがわかった。2つのM.tuberculosisのRFLP(restriction fragment length polymor phism)解析でDNAフィンガープリントが一致した。二人の感染に対する機会は他に考えられず、またこの共通の菌種によるTB感染の可能性が他にないことから、感染は汚染した医療器具を介して起こった可能性が強く示唆された。

APICガイドラインでは、内視鏡は検査と検査の間に酵素洗剤を用い手で洗浄し、その後2%グルタラール液に、少なくとも20分間浸漬(FDAでは25℃、45分浸漬)を奨めている。グルコン酸クロルヘキシジン液やポビドンヨード液での菌の不活性化は不十分との報告がある。APIC基準に従い、ディスポーザブル・チューブの使用、酵素洗剤の使用、内視鏡頭部のグルタラール液への完全な浸漬、空気乾燥、バイオプシー用ピンセット類の滅菌などの改善が行われた。TB株のRFLPフィンガープリント法は、TB伝播の区分けが出来、再発と再感染の区別、交差汚染の診断などに有用である。

(訳:仲川義人)

Carlisle Vol.3 No.1 p8-10 Spring 1998

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