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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.3 No.2 Summer 1998

医師や看護婦のペンの病院感染病原体による汚染

French,G.
Contamination of doctors’ and nurses’ pens with nosocomial pathogens.
Lancet,351:213,1998.

Datzらの先行研究では、医師のペンから数種類の細菌が分離されたと報告されている。しかしそれらは皮膚の常在菌が混入していたり、アウトブレイクを引き起こさないような弱毒菌であったりしたため、この結果によってペンが水平感染の媒介物となることを直接示すものではないとしている。

そこで本研究では、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の流行している5つの病棟、MRSAとバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の両方によるアウトブレイクが発生している1病棟、および多剤耐性(MDR)Klebsiella pneumoniaeのアウトブレイクが発生している1病棟の医師と看護婦のペンの汚染状況を調査した。

MRSAの流行している6病棟から収集した36本のペンのうち、9本(25%)に細菌汚染がみられた。この細菌の抗生剤感受性パターンは病棟で流行している菌株と同じであった。汚染率は、2病棟の0%(6本と2本のうち、どちらも0本の汚染)から、1病棟の50%(8本のうち4本が汚染)まで幅があった。VREが流行している1病棟から収集した6本のペンのうち1本(17%)がVRE陽性であった。MDR Klebsiellaが流行している病棟からの8本のペンでは、汚染されたものは1本もなかった。

以上の結果は、医療スタッフのペンが重要な病原体で汚染されているという、Datzらが示唆した事柄を追認するものであるが、やはり慎重な解釈が必要である。周知のように、病院環境は感染患者からの病原体で容易に汚染されるが、環境の汚染は感染経路とはならない。そのため、環境の定期的な細菌検査は通常行わない。MRSAやVREに汚染されたペンにしても、単に医療スタッフの手の汚染を反映しているに過ぎない。しかし、手洗い後にペンを触るような場合や、ステーションでペンを共同使用する場合には、ペンも感染経路となる可能性があると認識する必要があろう。

(訳:西岡みどり)

Carlisle Vol.3 No.2 p8-10 Summer 1998

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