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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.5 No.1・2 Spring/Summer 2000

MRSAの蔓延対策、ICUにおける費用対便益分析

Chaix C, et al..
Control of endemic methicillin-resistant Staphylococcus aureus. A cost-benefit analysis in an intensive care unit.f
JAMA, 282:1745-1751,1999.

いくつかの国々でMRSA感染対策が成果を上げているにも関わらず、同じようにMRSAが蔓延していても、そのようなプログラムの費用が高かったり、便益が限られていることを理由に、実施していない病院もある。
本研究では、MRSAの蔓延している病院での対策プログラムの費用と便益を比較することを目的とした。
入院時にMRSAの保菌率が4%であるフランスの大学病院におけるICUで、ケース・コントロール研究を実施した。1993年1月から1997年6月の間に、ICUでMRSA病院感染を発生した症例から27例を無作為抽出し、マッチングさせて選択した同時期入院の非感染症例27例を対照群とした。
対象のICUにおけるベースラインを基に作成した費用対便益モデルからの推計を用いて、MRSAが発生した場合に余分にかかる治療費を算出し、それを MRSA感染にかかる費用として、看護婦および医師のタイムスタディから算出した接触隔離対策の費用と比較した。さらに、入室時にMRSA陽性である患者に対して一律に接触隔離対策を実施するべきかどうかを検討するため、ICUのMRSA感染率、保菌対感染比、ICU在室日数、接触隔離対策にかかる費用などを変化させて感度分析を実施した。
MRSA感染にかかる平均費用は9,275USドル(中央値、5,885USドル)であった。接触隔離対策の費用は340USドルから1,480USドルの間であった。MRSA感染率が14%低減するならば、接触隔離対策は費用対便益が良いという結果であった。感度分析では、ICU入室時のMRSA陽性率が1%から7%の間で、保菌後の感染率が50%以上である場合は、接触隔離対策を取る方がよいという結果であった。
本研究の結果より、ICU入室時におけるスクリーニング検査とMRSA陽性者の接触隔離対策は、実施しない場合と比較して、有益であることが判った。

(訳:西岡みどり)

Carlisle Vol.5 No.1・2 p8-10 Spring/Summer 2000

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