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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.5 No.4 Winter 2001

血管アクセスケアに的をおく感染予防戦略のICU院内感染の発生率に対するインパクト

Eggimann, P., Harbarth, S., Constantin, M., et al.
Impact of a prevention strategy targeted at vascular-access care on incidence of infections acquired in intensive care.
Lancet, 355:1864-1868,2000.

血管内カテーテルの挿入は、疾病率を増やし医療費の増大をもたらす院内感染の大きな要因である。血管内カテーテルの使用ガイドラインの改善や特別な予防戦略により感染の発生率は減少しているが、これらを組み合わせた戦略のICU院内感染の発生率に対するインパクトは知られていない。
 そこで1997年3月に多面アプローチ感染予防戦略を導入し4月から11月までの8ヵ月間ICU院内感染の発生率に対するインパクトを評価した。比較期間として1995年10月から1997年2月までの内科ICUの院内感染のプロスペクティブ調査を行った。対象はICUに入院した成人患者で比較期間は 2,104名、予防戦略期間は1,050名であった。
 多面アプローチ予防戦略とは、ICUスタッフに対する教育キャンペーンと特別なガイドライン(中断を避けるための血管アクセスケアの用具の準備・除毛に代わるヘアカット・クロルヘキシジンの皮膚消毒・高度無菌バリアプレコーションの使用・透明ドレッシング材の使用・輸液セットなどの72時間間隔の交換など詳細が記されたもの)の使用である。
 その結果、カテーテル出口部感染の発生率は、1,000patient-daysあたり予防戦略前の9.2から戦略後は3.3に減少した(相対危険率 0.36)。同様に血流感染の発生率は、1,000patient-daysあたり11.3から3.8に減少した(0.33)。呼吸器・尿路管感染の発生率は変わらなかったが、一方、皮膚や粘膜感染は1,000patient-daysあたり11.4から7.0に減少した(0.62)。全体ではICU院内感染の発生率は1,000 patient-daysあたり52.4から34に減少した(0.65)。
 血管アクセスケアに的をおく多面アプローチの予防戦略は、血管アクセス関連の感染発生率を減少しICU院内感染の全発生率に大きなインパクトを与える。

(訳:中田栄子)

Carlisle Vol.5 No.4 p8-10 Winter 2001

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