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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.6 No.1 Spring 2001

HIV/AIDSおよび他の血液媒介病原体に感染している保健医療従事者に対する国家政策

Gostin, L. O.
A Proposed National Policy on Health Care Workers Living with HIV/AIDS and Other Blood-Borne Pathogens.
JAMA, 284:1965-1970, 2000.

CDCはフロリダの歯科医から感染した6例のHIVを報告したが、伝播様式は不明であった。この報告は合衆国にとってHIVのみならず、他の血液媒介感染症についてもその指針に影響を与えることとなった。1991年にCDCはHIV、HBVに感染した保健医療従事者(HCW)は、専門委員会の判断を仰がなければ感染を惹起しそうな治療を行うべきでないと勧告したが、医師会や歯科医師会はそのような業務制限の明確化に反対した。
 1991年10月、議会は公的健康保険基金を受け入れる条件としてCDCガイドラインまたはそれに相当するものが設置されている証明を求める法令を各州に規定した。結果的には州により違いが生じ、特にCDCによって勧告されているにもかかわらず、多くの州は患者への公表を求めなかった。1995年12月 HIV/AIDSの大統領諮問協議会は、HIVに感染したHCWを独断的に制限して差別につながるガイドラインの再審査をCDCに通告するよう大統領に要望した。

その後、専門家協議会はHCWに対する検査の必要がなく、病院は患者へ公表する必要もなく、感染したHCWは業務から除外しないとした政策変更を行った。 CDCのガイドラインの変更は2つの理由から国家政策に大きく影響することとなった。この変更は、感染したHCWから患者へのHIV伝播はほとんどないという多くの根拠と新しい治療法の開発にある。HIV(0.03~0.9%)よりもむしろHBV(12~17%)の伝播の可能性が高いといわれるにもかかわらず、HCWから患者へのHBV伝播は極めて低い。国家政策はHIV、HBVと同様にHCVについても管理が必要であるとしている。 

新しい国家政策は、感染したHCWの確認や管理よりもむしろ患者とHCWの医療現場の安全化をはかるため、組織改革に焦点を置いている。HCWの権利を傷つけないような自治権、プライバシー、生計の確保、患者の安全を護ることを実施すべきである。1.血液媒介病原体の伝播予防策の整備、2.人権の責任において感染したHCWの人権擁護と責任、3.感染医の確認や感染しやすい治療に対する制限の中止、4.HCWの感染状況の公表の中止、5.患者への重大な危険回避のための業務制限の遵守などに配慮し、患者の安全な環境での治療の確保に努める、ことが求められる。

(訳:白石 正)

Carlisle Vol.6 No.1 p8-10 Spring 2001

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