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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.6 No.4 Winter 2002

医療器具に使用される抗生剤と消毒剤に対する耐性菌発現リスクのIn vitroでの評価

Tambe, S. M., Sampath, L., Modak, S. M.
In vitro evaluation of the risk of developing bacterial resistance to antiseptics and antibiotics used in medical devices.
J. Antimicrob. Chemother., 47:589-598, 2001.

抗生剤や消毒剤は感染リスクを減少させるため中心静脈カテーテル(カテ)に浸漬使用するが耐性菌の出現が問題となる。そこで、これらカテーテルにおけるS. epidermidis(S.e)の耐性発現の研究を行った。被験菌はS.e(標準株)、臨床分離株1株(H)、リファンピシン耐性株(RIF-γ1)を、抗菌剤はミノサイクリン(MIN)、リファンピシン(RIF)、消毒剤はクロルヘキシジンアセテート(CHA)、スルファジアジ銀(AgSD)を使用した。

感受性試験は、カテ通過菌に対する最小発育阻止濃度(MIC)を試験管稀釈法で、試験カテ0.5cm断片は寒天培地に置き、培養後の阻止円を測定した。S.e菌液(104cfu/mL)中を通過させる前後で求めたMICは MIN処理カテで20回通過後でも変化はないが、RIF処理カテでは10回通過で25,000倍に増加した。MIN +RIF(1:1)併用処理カテは、標準株に対して10倍、分離株(H)で16倍に増加した。分離株(H)にRIFとMIN+RIFを作用させた耐性株 RIF-γ2およびMIN-RIFγ株と標準株のMIC比較では、MIN-RIFγ耐性株はRIF単独カテの80倍になったが、RIF-γ2耐性株での MIN+RIF併用処理カテでは16倍と、RIF耐性は、MINとの併用により抑えられた。

消毒剤CHAとAgSDを外側に包埋したカテⅠは培地に浸漬7日後に効力低下を示したが、AgSDと高濃度CHA(1:3)を外側に、CHAを内側に浸漬したカテⅡの効力は維持した。RIFに対する感受性(MIC)の異なるS.eを用いた実験で、培地中への薬剤溶出はRIFよりMINが、AgSDより CHAが速く、阻止円はカテⅡより抗生剤カテが大きく、カテ付着菌は消毒剤処理カテでは認められなかったが、抗生剤処理カテでは7、14日後に認められた。すなわち、阻止円と菌の付着は符合しないことが認められた。以上より、抗生剤耐性菌の付着は消毒剤処理カテのほうが発現しにくいと思われる。

(訳:白石 正)

Carlisle Vol.6 No.4 p8-10 Winter 2002

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