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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.6 No.4 Winter 2002

台湾におけるVanB2型バンコマイシン耐性腸球菌の広範囲な流行

Lu, J. J., Perng, C. L., Ho, M. F., et al.
High prevalence of VanB2 vancomycin-resistant Enterococcus faecium in Taiwan.
J. Clin. Microbio., 39:2140-2145, 2001.

VanB型グリコペプタイド耐性腸球菌36株が、台湾の5病院の患者から採取された。それぞれの分離株はPCR法によってVanB遺伝子群が増幅され、 VanBリガーゼ遺伝子が確認された。さらに台湾でのこれらの分離株のうち優勢な株を同定するためにパルスフィールド電気泳動(PFGE)が実施された。

バンコマイシン耐性遺伝子は、長鎖のvanB遺伝子をPCR法でvanRB2、vanSB2、vanYB2、vanWB2、vaHB2、vanB2、vanXB2遺伝子を含む6,373 bpのvanB遺伝子群として増幅された。vanB1遺伝子群は95~98%はアミノ酸配列が均一であり、VanRB1は97%、VanSB1は97%、VanYB1は96%、VaHB1は95%、VanB1は96%、VanXB1は98%のアミノ酸配列が均一であることが判った。長鎖のvanB遺伝子のPCR法による産物を、制限酵素を使用して分析した結果、全36株は同一のvanB2型の特殊パターンを示すことが明らかとなった。

vanB2遺伝子のDNA配列分析の結果、36株の配列はD-Ala-D-Lacリガーゼ遺伝子であり、これまでに公表されているvanB2の配列と同一なものはないことが明らかになった。この分析では、TSGH1、V4248、VRE-1、SLH475と命名された4つの型のvanB2遺伝子配列が観察され、TSGH1が属する31株はこれまでに公表されているvanB2遺伝子とは1ヌクレオチド異なっていた。他の3つの型に属する5株の配列は、2ないし3ヌクレオチド異なっていた。vanB1遺伝子とは44ないし46ヌクレオチド異なっており、結果として14ないし15のアミノ酸配列が異なっていた。

低度、中等度のバンコマイシン耐性を持つ4株(MIC=4~32μg/ mL)では、vanB2遺伝子の308番目のアミノ酸配列が同じようにロイシンからメチオニンに変化していることが判った。

36株のDNA遺伝子をSmaⅠ切断によるパルスフィールド電気泳動によってタイピングを行った。8つの異なった型(Ⅰ~Ⅷ)が観察され、 Ⅰ型はこの研究に参加した全病院で流行していることが判った。これらは、コントロール群(米国由来のVanB1、VanB2株およびノルウェー由来の VanB2株)のPFGEの型とは一致しなかった。この結果、台湾において腸球菌(E. faecium)株の病院内、病院間での転位が起こったことが示唆された。

この研究の結果として、VRE感染の疫学的研究のためには変化するバンコマイシンの耐性度の測定とPFGEによる遺伝型分析を実施すべきであることが推奨される。

(訳:野口浩恵)

Carlisle Vol.6 No.4 p8-10 Winter 2002

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