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UK Update
イギリス(HPA-HPRより)
2002/06/20

イングランドにおける義務的MRSA菌血症サーベーランスの初年

PHLS. CDR Weekly June 20, 2002; 12:(25).2.
First year of mandatory MRSA bacteraemia surveillance schemeの要旨
http://www.hpa.org.uk/cdr/PDFfiles/2002/cdr2502.pdf

健康省による義務的なMRSA菌血症サーベーランス計画の初年度の結果が報告された。イングランドにおけるすべてのNHS(公的保険)急性疾患病院187病院が2001年4月よりこのサーベーランスに参加している。MRSA菌血症率は1,000ベッド日あたり0~0.66であり、全体としては0.17であった。専門急性疾患病院での菌血症率が最も高く、単科専門病院での率が最も低い。地域別にはロンドンでの率が最も高く、北西部で最も低い。

高い菌血症率が必ずしも感染制御上の欠陥を示すとは限らない点に注意して解釈することが重要である。

<訳註>

イングランドにおける全国的サーベーランス、NINSSにはいくつか米国のNNISと異なる点があります1,2,3)

  1. NINSSは現在のところ手術部位感染と血流感染のみ対象としているが、米国ではベンチレーター関連肺炎と導尿カテーテル関連尿路感染も対象としている。
  2. NINSSは様々な病棟を含むが、米国ではICUを中心としている。
  3. NINSSへの参加はMRSA菌血症について強制的であるが(その他の項目は任意)、米国においては任意である。
  4. NINSSでのMRSA菌血症率は病院毎に病院名とともに公表されるが、米国においては集計結果のみ公表される。
  5. NINSSでのMRSA菌血症率は病院毎に病院名とともに公表されるが、米国においては集計結果のみ公表される。
    日本においては日本環境感染学会(JNIS)、厚生労働省(JANIS)4)、 国立大学病院の協議会などで病院感染サーベーランスが始動しています。

イングランドにおけるサーベーランスの特徴は行政的で強制的であることと病院名の公表を行うことにあると思われます。病院感染の発生率は患者の疾病種類や重症度、医療処置の種類や侵襲度などにより大きくことなるので、データを病院間で比較する際には慎重な解釈が必要と思われます。病院毎の感染対策体制の良否を判断する上では第3者的な評価(peer review)を加味することが望ましいともいわれています。イングランドではデータの公表のみならず地域ごとに地域担当ICNなどを設置し各医療機関を訪問して第3者的評価を行うことが開始されています。米国においてはいわゆるマネージドケアを行う民間の医療保険機構が主に経済的な側面から第3者的役割を果たしています5)

<参考>

  1. PHLS: Hospital acquired infection: minister announces compulsory new service for the NHS. CDR Weekly 2000;10(43).
    http://www.yoshida-pharm.com/uk/2000/001030.htm
  2. 2)PHLS: Enhanced surveillance reports on surgical site infection and hospital acquired bacteraemia published. CDR Weekly 2002; 12(16).
    http://www.yoshida-pharm.com/uk/2002/020418.htm
  3. NNIS: National Nosocomial Infections Surveillance (NNIS) System Report, Data Summary from January 1992-June 2001, Issued August 2001.  Am J Infect Control 2001;29:404-421.
    http://www.cdc.gov/ncidod/hip/NNIS/2001nnis_report.pdf
  4. 感染症情報センター: 院内感染対策サーベイランス.
    http://202.255.237.164/janis/
  5. Jarvis WR. Infection Control and Changing Health-Care Delivery Systems. Emerging Infectious Diseases 2001;7,170-173.
    http://www.cdc.gov/ncidod/eid/vol7no2/pdfs/jarvis.pdf
CDR Weekly: 2002.06.20/Yoshida Pharmaceutical Co Ltd: 2002.08.05

関連サイト