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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.7 No.4 Winter 2003

小学校における児童の欠席に及ぼす総合的な手指洗浄プログラムの効果

Guinan, M., McGuckin, M., Ali, Y.
The effect of a comprehensive handwashing program on absenteeism in elementary schools.
A. J. I. C., 30: 217-220, 2002.

手指洗浄(手洗い)は微生物の拡散を防止する点、および感染症の拡大を防止する点で最も重要な要素(手段)の一つである。子供は人生の早い時期に親から手洗いの基本を学ぶことをしつけられる。けれども子供が学校にいるときは親による手洗い習慣のしつけの機会が少なくなる。本研究の目的は小学校における児童の欠席に及ぼす総合的な手洗いプログラム(“Buddies Handwashing Program”と称するプログラム)の効果を決定するためであった。

ペンシルベニア州の5つの異なった学校から290人の生徒を選び、145人を対照群、また、145人を試験群とし本研究を実施した。なお、5校のうち3校は男女共学、1校は男子のみ、1校は女子のみの小学校であった。また、1クラスの平均人数は15人(11~20人)であった。個々の試験教室はそれぞれ一つずつの対照教室を持ち(ただし1校は試験群のみ、したがって5校で9ケースとなる)、そして、試験教室だけで教育プログラムおよび手指殺菌消毒剤の使用説明などを実施した。教育プログラムは手洗いの重要性についての10分間の説明を含めて1時間で構成される内容であった。使用した手指殺菌消毒剤は手荒れ防止剤としてグリセリンおよびプロピレングリコールを含んだ62%エタノール製剤であった。欠席データは手洗いプログラムの啓発後、2000年3月から5 月まで3ヵ月間集計した。学校における欠席のエピソード(できごと)数を月別(3月、4月、5月)に集計したところ、のべ27ヵ月のうちの23ヵ月で、対照群に比べて試験群での欠席が、より少ないことを認めた。欠席数は試験群の中では対照群に比べ50.6%低かった(対照群が277に対して試験群では 140の割合:危険率1%未満で有意)。

これらのデータから教室における教育と手指殺菌剤の使用を併用した手指衛生プログラムは、欠席率をより低下させるとともに、本研究を実施するに際して必要とする価格面(教育に関する費用等)を考慮しても効果的であることが強く示唆された。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.7 No.4 p8-11 Winter 2003

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