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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.8 No.2 Summer 2003

教育病院におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対する予防措置の遵守

Afif, W., Huor, P., Brassard, P., et al.
Compliance with methicilline-resistant Staphylococcus aureus precautions in a teaching hospital.Am. J. Infect. Control, 30:430-433, 2002.

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、病院感染の重要な原因菌であり、米国における全国院内感染サーベイランスシステム報告においても最も一般的な原因菌の1つである。MRSAの院内伝播は、主に適切な予防措置をしないヘルスケア職員の手指汚染を通して起こる。そのため、感染制御ガイドラインでは、多剤耐性菌の保菌あるいは感染患者と接触する際には、手袋とガウンの使用、個々の患者接触ごとの手指消毒など、適切な予防措置をとることを薦めている。

本研究では、日常の患者ケアにおけるMRSA予防措置の遵守に関し、カナダのモントリオールの教育病院(McGill大学ヘルスセンターの病院の1 つ;405床)において調査を実施した。対象は、看護師184名、医師41名、作業療法士および理学療法士19名、付き添い102名、清掃職員28名、その他のヘルスケア職員65名、訪問者49名とし、匿名で観察による調査(調査期間;2000年1月~7月)を行った。MRSA予防措置としては、手指消毒、手袋とガウンの適正使用について評価した。

488名のMRSA予防措置の平均遵守率は28%であり、手指消毒35%、手袋とガウンの使用65%であった。一変量分析においては、MRSA予防措置の遵守率は職種によって著しい差がみられた。看護師と比較して、医師はオッズ比(OR)0.27,95%信頼区間(CI)0.12-0.61と低く、付き添い(OR;0.33,CI;0.18-0.59)、訪問者(OR;0.18,CI;0.08-0.42)、清掃職員(OR;0.06,CI;0.01-0.42)も遵守率が低かったが、作業療法士および理学療法士はOR;12.9,CI;2.9-57.6と遵守率が高かった。多変量分析においても、看護師と比較して、医師(OR;0.35,CI;0.14-0.86)、付き添い(OR;0.37,CI;0.2-0.69)、訪問者(OR;0.2,CI;0.08-0.49)、清掃職員(OR;0.06,CI;0.01-0.47)、その他のヘルスケア職員(OR;0.39,CI;0.18-0.85)は遵守率が低かったが、作業療法士および理学療法士はOR 11.7、CI 2.55-53.8と遵守率が高かった。また、性別や病棟別による有意差はみられなかった。さらに、患者数対看護師数比においても有意差は認められなかった。なお、一変量分析において時間および曜日は重要な要因であったが、多変量分析においてはあまり重要ではなかった。

以上の結果より、院内におけるMRSA予防措置の遵守率は低く、職種により異なることが明らかとなった。

(訳:巨勢典子、木津純子)

Carlisle Vol.8 No.2 p8-11 Summer 2003

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