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WHO Update
世界保健機構(WHO-WERより)
2003/03/28

重症急性呼吸器症候群(SARS)

WER March 28, 2003 No.13 Vol.78
WHO: Severe acute respiratory syndrome(SARS)の要旨
http://www.who.int/docstore/wer/pdf/2003/wer7813.pdf
WHOの世界的集団発生警告・対応ネットワークは現在、9カ国11施設の研究機関の参加を得てSARSの原因同定に努めており、数日中に結論が出ると思われる。3月26日WHOは電子国際会議が開催し、13カ国から80名の臨床家が参加して、臨床的特徴と治療に関する討議を行った。3月26日中国当局は、 2002年11月16日から2003年2月28日までの31例の死亡を含む792例のSARSを公式に報告した。これによりSARS例の総計(3月26日時点)は49例の死亡を含む1323例となった。
<訳註>

これはWHO Update2003.03.21(http://www.yoshida-pharm.com/who/2003/030321.htm)の続報です。
SARSの起源は中国広東省にあると推測されていますが、香港とその他世界各地におけるSARSの集団発生の多くは、香港のあるホテルに関連しています。そのホテルへ2003年2月21日に宿泊した中国広東省からの旅行者が発病して22日に入院し、その時同宿していた旅行者などが、ベトナム、シンガポール、米国、アイルランド、カナダに移動後発病、あるいは発病後移動したことが判明しています。その後、香港のみならずこれらの国々でこれらの患者をケアした医療従事者と家族など近接者における集団感染が発生しています。その感染した医療従事者がベトナムからタイ、あるいはシンガポールからドイツへと移動したケースもあります。これらのことは文献1)の図表に解りやすく示されています。中国では北京、上海でも患者が発生しています2)
また、SARSの原因がコロナウイルス科に属する未知のウイルスであるという説が有力になりつつあるとのことです2)。Human coronavirusは、ヒトにおけるかぜ症候群の主な原因ウイルスとして知られており、また小児において病院感染事例が報告されています3)。主な感染部位は上気道ですが、下気道に至る場合もあり、また糞便からもウイルスが検出されます。主な感染経路は飛沫感染、直接・間接の接触感染ですが、空気感染の可能性もあります。Human coronavirus 229Eはエアロゾル化された状態で半減するのに温度・湿度により数時間から数十時間を要し4)、また乾燥表面で3時間後も検出可能と報告されています5)。コロナウイルスはエンベロープを有するウイルスで、通常、アルコール、次亜塩素酸ナトリウム、熱水などに感受性を示します6)7)

1)CDC: Update: Outbreak of Severe Acute Respiratory Syndrome – Worldwide, 2003. MMWR 2003;52:241-246.
http://www.mhlw.go.jp/topics/2003/03/dl/tp0318-1b7.pdf

2)WHO. Update 12 – SARS virus close to conclusive identification, new tests for rapid diagnosis ready soon. 27 March 2003.
http://www.who.int/csr/sarsarchive/2003_03_27b/en/

3)Gagneur A, Sizun J, Vallet S, Legr MC, Picard B, Talbot PJ: Coronavirus-related nosocomial viral respiratory infections in a neonatal and paediatric intensive care unit: a prospective study. J Hosp Infect 2002;51:59-64.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=12009822&dopt=Abstract

4)Ijaz MK, Brunner AH, Sattar SA, Nair RC, Johnson-Lussenburg CM: Survival characteristics of airborne human coronavirus 229E. J Gen Virol 1985;66 (Pt12):2743-2748.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=2999318&dopt=Abstract

5)Sizun J, Yu MW, Talbot PJ: Survival of human coronaviruses 229E and OC43 in suspension and after drying on surfaces: a possible source of hospital-acquired infections. J Hosp Infect 2000;46:55-60.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=11023724&dopt=Abstract

6)Saknimit M, Inatsuki I, Sugiyama Y, Yagami K: Virucidal efficacy of physico-chemical treatments against coronaviruses and parvoviruses of laboratory animals. Jikken Dobutsu 1988;37:341-345.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=3416941&dopt=Abstract

7)Sattar SA, Springthorpe VS, Karim Y, Loro P: Chemical disinfection of non-porous inanimate surfaces experimentally contaminated with four human pathogenic viruses. Epidemiol Infect 1989;102:493-505.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=2737256&dopt=Abstract

WER: 2003.03.28 / Yoshida Pharmaceutical Co Ltd: 2003.03.31

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