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Point
病院感染対策のポイント

第2章 感染起因微生物と予防策

No. 5 ICUにおけるMRSA予防策

ICUで患者の鼻腔からMRSAが検出されました。どのような予防策を取ったらよいでしょうか?

ICU、NICU、移植病棟、血液内科病棟、熱傷病棟などにおいては、患者の多くが易感染状態にあり、手術創、血管内留置カテーテル、尿路カテーテル、気管内挿管など感染しやすい要因を有する症例も多いため、MRSA感染の伝播リスクは大きいと考えられます。したがってMRSA感染症例は積極的に病室隔離(集団隔離を含む)を行い鼻腔など保菌部位の除菌を試みます。病室隔離が十分に行えない場合には、パーティションの設置やベッド間隔の拡大などにより技術的隔離(technical isolation)を行います。また同時にMRSA感染症例および保菌患者に対して接触予防策としてのバリアプリコーションを行うことが肝要であり34)、その他の患者についても通常より厳密な標準予防策を行うことを考慮します(表5)。なお、これらの病棟に勤務する医療従事者について鼻腔検査を行い保菌者にムピロシンを適用することも有益といわれており、医療従事者の鼻腔を介したMRSAの伝播が問題となる状況において考慮します29)

表5 MRSA感染症患者・保菌者対策 -感染リスクによる患者分類とMRSA予防策-

患者グループ 予防策 保菌者の病室隔離
老人保健施設、特別養護老人ホームなど 標準予防策に準じた感染対策を日常的に行う 通常は必要なし
療養型病棟、精神科など 標準予防策を基本とする 通常は必要なし
一般病棟 標準予防策を基本とし、場合により保菌患者・感染症例に接触予防策を追加する ・必要な場合は個室隔離または集団隔離を行う
・特に排菌が多く汚染を拡散する症例は積極的に隔離する
ICU、NICU、移植病棟、血液内科病棟、熱傷病棟など 厳密な標準予防策を適用し保菌患者・感染症例に接触予防策を追加する ・積極的に隔離する
・病室隔離が十分に行えない場合には、パーティションの設置やベッド間隔の拡大などにより技術的隔離を行う

ICUなどにおいては患者の多くが易感染患者であるため、病棟内における感染症例の有無、処置の種類を問わず処置前の手洗いを行います。面会者には入室時の手洗いを依頼します。また、複数の患者に直接接触する聴診器の先端部などは保菌者に使用していない場合でもその都度アルコールで清拭します。多人数が頻繁に接触する病棟内のドアノブなどをアルコールで清拭することもあり、できれば水道の栓に非接触式の自動活栓を導入します(No 6. の表6を参照)。

また、MRSA保菌患者・感染症例に直接接触する場合および寝衣、寝具、ベッド柵など汚染の疑われる範囲に接触する場合には手袋を着用し、処置後手袋をはずして手洗いを行います。また体位交換や全身清拭などで濃密に接触する場合にはガウンを着用します。ノンクリティカル器具はなるべく患者専用とし、他の患者と共用する場合には低~中水準消毒を行います。ベッド柵、ベッドテーブル、床頭台、点滴支柱など患者周辺の物品・環境表面は、一般的な清拭・清掃を原則としますが、必要に応じて1日1回程度低水準消毒薬入り洗浄剤またはアルコールを用いて清拭・清掃します。

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