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病院感染対策のポイント

第4章 処置部位別の予防策

No. 16 尿路感染の予防策 -尿路カテーテル関連感染-

尿路カテーテル挿入口の処置はどのように行えばよいでしょうか? 

米国における1984年の調査では尿路感染は下気道感染や術創感染よりも頻度の高い病院感染といわれていますが128)、欧州における1992年の調査では病院感染の多くは肺炎などの呼吸器感染、ついで尿路感染であるといわれています129)。病院感染の報告頻度はサーベイランスの対象と方法により異なりますが、尿路感染と呼吸器感染は頻度の高い病院感染であると思われます。病院における尿路感染の多くは尿路カテーテルに関連しているといわれています。発生率は診療科によって大きく異なりますが、カテーテルの留置期間が重要なリスク要因であるため、通常1,000 urinary catheter-days(尿路カテーテル留置期間1,000日)あたりの感染率に注目してサーベイランスが行われます。米国のICUにおけるデータによれば尿路カテーテル関連尿路感染の感染率は診療科により3.1~9.7/1,000 urinary catheter-daysとなっています120)。尿路感染は多くの場合無症候性ですが130)、小児などにおいて2次的に血流感染へと進展する場合があります。

尿路カテーテル関連尿路感染の予防にはさまざまな事項が関連しますが、ここではまず、主に尿路カテーテル挿入時の処置と留置中のケアについて述べることとします。その他の事項については各ガイドライン131、132)を参照ください。

尿路カテーテル関連尿路感染に関する要因としては、尿路カテーテル挿入時の医療従事者の手指汚染や操作技法によるものが考えられ、またカテーテル留置中における尿路粘膜の損傷によるものが考えられます。カテーテル挿入時とケアの前には手洗いを行い手袋を着用することが必要です。尿道口周辺の処置やケアとして日本においては10%ポビドンヨード液などを定期的に適用する場合が多くあります。米国のガイドラインは131)、1日2回のポビドンヨード液とポビドンヨード軟膏の適用をした場合でも、適用しない場合より感染率が下がらなかったという報告133)を参照して、尿道口のケアとして生体消毒薬を用いることは勧告していません。また英国の暫定ガイドラインも132)、挿入時には社会通念的水準で清潔でなければ性器周辺をカテーテル挿入の前に石けんと水で洗うべきであること、尿道口のケアとしては結痂や汚染がないよう保つのに適切な間隔でシャワーまたは強くないビデで洗浄することのみを勧告しています。しかしながら米国の勧告は1981年のものであり、また生体消毒薬を適用するべきでないと勧告されているわけではありません。今後さらに臨床的研究134、135)が積み重ねられ、より明確な結論が導かれることが期待されます。この他にこれらのガイドラインでは、必要のない限り尿路カテーテルを使用しないこと、閉鎖式持続導尿回路を使用し連結部ははずさないこと、カテーテルの交換は定期的に行わないこと、定期的な尿細菌検査は必要ないこと、尿流を確保することなどが勧告されています。

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