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病院感染対策のポイント

第4章 処置部位別の予防策

No. 17 呼吸器感染の予防策 -呼吸器系装置関連感染-

病院感染としての肺炎の予防はどのように行えばよいでしょうか? 

呼吸器感染は尿路感染と同様頻度の高い病院感染であると思われます。呼吸器系感染の中でも肺炎は重篤な病院感染症ですが、病院における肺炎の多くは人工呼吸器など呼吸器系装置に関連しているといわれています。発生率は診療科によって大きく異なりますが、人工呼吸器の使用期間が重要なリスク要因であるため、通常1,000 ventilator-days(人工呼吸器使用期間1,000日)あたりの感染率に注目してサーベイランスが行われます。米国のICUにおけるデータによれば人工呼吸器関連肺炎は診療科により4.3~16.2/1,000となっています120)

病院感染としての肺炎の起因菌を予防策別に大別すると、接触予防策の必要なもの(Respiratory Syncytial Virus:RSV、細菌など)、飛沫予防策の必要なもの(インフルエンザウイルス、細菌など)、感染症例には標準予防策を基本とするが空調、飲料水、空気流など一般媒介物を経由して集団感染をもたらすもの(レジオネラ、アスペルギルスなど)が挙げられます。その予防にはネブライザー、加湿器、人工呼吸器などの呼吸器系装置の管理(緑膿菌、レジオネラなどの細菌)、クーリングタワー・飲料水の管理(レジオネラなど)、病院改修時の空気流管理(アスペルギルスなど)、ワクチン接種(インフルエンザなど)、その他患者の感染制御能のコントロールなどの事項が関連します。ここでは主に呼吸器系装置、その他器材などを介した伝播の予防策について述べることとします。その他の事項については各ガイドライン41、132)を参照ください。

ネブライザー、加湿器、人工呼吸器などの呼吸器系装置は、その回路を通過する湿気や加湿水などの飛沫が呼吸器粘膜に触れるためセミクリティカル機器に分類されますが、その構造によっては滅菌や高水準消毒を行うことが容易でない場合があります。また化学的滅菌剤や消毒薬を用いた場合にはその残留について十分な注意が必要です。熱水や消毒薬を循環させることができない装置である場合には、蛇管、配管、加湿水タンクなどの部分を取り外して滅菌または消毒を行います。これらの機器において増殖し問題となるのは緑膿菌などのグラム陰性菌である場合が多いので、ネブライザーや加湿器の湿気・水分が通過・貯留する部分は少なくとも、熱水(80℃10分)、次亜塩素酸ナトリウム(100ppm、1時間浸漬)、場合により消毒用エタノールを用いて頻繁に消毒します。米国のガイドラインは41)、ネブライザーは他の患者に使用する前に、病室内空気を対象とする加湿器は毎日、滅菌または高水準消毒をするべきであると勧告しています。人工呼吸器は機器毎の説明書にしたがい滅菌または消毒します。また呼吸器系装置に用いる加湿水は滅菌精製水を用い24時間以内に交換します。

喀痰吸引カテーテルはその都度使い捨てとすることが原則であり、洗浄水も滅菌精製水とし1日に2回以上交換します。やむなく同一患者において再利用する場合には洗浄水や消毒薬入り保存水を頻繁に交換し、患者間で共用してはなりません。また吸引操作を行う場合には手袋を着用します。気道粘膜に適用する薬剤は衛生的に操作し、原則として患者間で使い回しすることを避けます。なお、呼吸器系装置に関連する呼吸器感染の予防として気道粘膜に生体消毒薬を適用することに関して上述のガイドラインは特に言及していません。ただし、気管切開部のケアなどに生体消毒薬を用いることがあります。

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