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Point
病院感染対策のポイント

第3章 診療科別の予防策

Summary (3) 職業感染のまとめ

病院感染の一部である職業感染の予防においては、まず医療従事者の労働衛生上の観点から血中ウイルス感染、結核などの予防が重要ですが、医療従事者が患者に対する感染伝播の感染源となる可能性を減少させるという意味においてインフルエンザなどの予防も重要です。血液との接触機会が多い手術室や透析室の医療従事者、また易感染患者に接する機会の多い移植病棟の医療従事者は特に注意が必要です。また老人施設の職員においても結核やインフルエンザに対する注意が必要といわれています。

職業感染の予防には、医療従事者に対するインフルエンザワクチンおよびB型肝炎ワクチン接種、結核検診、曝露後の薬剤予防的投与などが重要な事項として関連しますが、日常的に標準予防策を遵守すること、感染経路別予防策の必要な症例を早期に発見し空気予防策、飛沫予防策などを行うこと、針刺し事故の防止、感染性廃棄物の適切な処理などの予防策も肝要です。ワクチンによる免疫化についてはNOTE 2を参照ください。

感染した医療従事者の就業制限については、感染症予防法や結核予防法などの定める場合に加え(NOTE 1を参照)、さらにきめ細かく医療従事者の担当職種・部局などを考慮して感染伝播リスクを勘案し判断します。感染性の結核や感染症予防法における一類・二類・三類感染症に罹患した、またはその疑いのある医療従事者は直ちに必要な検査を行い、感染性のある期間、少なくとも法的に定められた就業制限を行います52、58、68)。また麻疹、流行性耳下腺炎、風疹など法的な就業制限がない感染症の場合でも、感染性があり伝播された患者によっては重大な影響のある感染症に関しては、医療機関の判断にて罹患した医療従事者に、感染性のある期間、伝播リスクのある業務についての就業制限を行うべきです58)。インフルエンザに罹患した疑いのある医療従事者は、インフルエンザ流行時にハイリスク患者のケアからはずすことを考慮するとも勧告されています58)。黄色ブドウ球菌の保菌者を業務からはずす必要は通常ないといわれていますが、創傷に保菌している場合にはドレッシングを施し、排膿がある場合には患者ケアなどを制限します58)。またICUなどにおいては鼻腔保菌者のムピロシンによる除菌を考慮します。なお、血中ウイルスキャリアである医療従事者による曝露的手技(exposure-prone procedures)の制限については、米国において倫理、人権などの事項も含めた政治レベルでの議論となっています95)

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