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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.8 No.4 Winter 2003

医療従事者の手指衛生遵守における模範となる人と病院設計に関する影響

Lankford, M.G., Zembower, T.R., Trick, W.E., et al.
Influence of role models and hospital design on hand hygiene of health care workers.
Emerging Infect. Diseases, 9:217-223, 2003.

医療従事者が適切な時間に手洗いをすることは感染管理の基本である。APIC(Association for Professionals in Infection Control and Epidemi-ology)、HICPAC(Hospital Infection Control Practices Advisory Commi-ttee)そしてCDC(Centers for Disease Control and Infection)の手洗いと病院環境管理ガイドラインでは、いずれも手洗いの遵守が重要であると強調している。しかし、医療従事者の手指衛生遵守率の低いこと、教育や動機付けの工夫の重要性について言及している。本稿では、手洗い場への利便性を高めるよう設計された新病院と、旧病院での手指衛生の遵守について評価するとともに、手指衛生の頻度が年長の医療従事者の行動によって影響を受けるかどうかについても評価した。

旧病院は個室と準個室683床を有し、流し場はICUなど調査対象部署に各ベッド当たり0.14~1.0の割合で、その他、廊下のさまざまな場所に手洗いシンクが設置されていた。新病院は492床の個室で開院し、職員用流し場は各個室内に設置され廊下では使用できないようになっていた。調査期間は1998 年10月8日から1999年4月29日(25週間)が旧病院で、1999年7月7日から12月23日(24週間)に新病院で行った。調査は合計45時間(9.6~13.5時間/部署)、49回合計560回の医療従事者と患者の看護状況が観察された。729回行われた手指衛生で、旧病院が305回(41.8%)、新病院が424回(58.2%)であった。入室時の手指衛生の遵守は、新病院6%(26/424)、旧病院12%(36/304)で、旧病院に有意に多く(p=0.006)、総合評価では新病院(23%)に比べ旧病院(53%)での遵守が良好であった。

処置前より処置後の手指衛生遵守率の高さの要因としては、旧病院勤務、患者との接触、立ち入り検査業務、手袋使用、入室時の手指衛生などが有意な特徴であった。特に、同室の医師や看護師などの年長スタッフが手指衛生を行わないと、他のスタッフも手洗いなどの手指衛生率が低下する(オッズ比:0.2 p<0.001)。医療従事者の手指衛生の遵守は、他の医療従事者の行動による影響が大きく、手洗い場の利用の改善は設置数の増加対策以外の要因が影響することを示唆している。

(訳:白石 正)

Carlisle Vol.8 No.4 p8-11 Winter 2004

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