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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.9 No.1 Spring 2004

カナダの救急病院における感染サーベイランスおよび感染制御の状況

Zoutman, D.E., Ford, B.D., Bryce, E., et al.
The state of infection surveillance and control in Canadian acute care hospitals.
Am. J. Infect. Control, 31:266-272, 2003.

病院感染と抗生物質耐性菌は、罹患率や死亡率、経費増大において重要な要因となっている。米国においては、すでに80%以上の病院において病院感染制御効率に関する調査(SENIC)が詳細に行われている。その結果、効果的な感染制御プログラムには、250床あたり1人のフルタイムの感染制御実践者(ICP)を配置すること、感染制御の訓練を受けた医師を配置すること、集中的なサーベイランスを実施すること、さらには集中的な感染制御を行うことが必須であることが確認され、これらを実施すれば病院感染の1/3が防げるとされている。

一方、カナダの救急病院においては、感染サーベイランスおよび感染制御の活動は20年間評価されていない。感染症委員会などのカナダ病院疫学委員会と協同で進められているカナダ病院感染サーベイランスプログラムは、大きな目標の一つに“病院感染減少”を挙げている。そのためには、国内におけるガイドラインを作成する必要があるが、本研究はその作成に必要となるデータを供給するために行ったものである。

2000年秋に、80床以上の救急病床があるカナダの全病院に対し、感染制御プログラムについてのアンケート調査を実施した。調査は、米国のSENICを土台とし、耐性菌およびコンピュータ化に関連したものを追加し作成した。調査項目として、病院規模(病床数やタイプ、人員)、資源(ICP、専門医師、検査室、コンピュータ、資料など)、感染症サーベイランス(共通データの収集、各種感染の統計処理、手術後感染報告、新しい病院感染の検出方法など)、感染制御活動とし、サーベイランスおよび感染制御の指数を算出して評価した。

238のうち172病院(72.3%)から回答が得られた。42.1%の病院において、250床あたり1フルタイムのICPを満たしていなかった。しかしながら、60%の感染制御プログラムにおいて、感染制御のための訓練を受けた医師やICPを配置していた。検査室、コンピュータについては、ほとんど全ての感染制御プログラム(97.7%)において、微生物学的検査報告サービスをコンピュータで利用することが可能であった。サーベイランスおよび感染制御の指数の中央値はそれぞれ65.6/100、60.5/100であり、手術部位感染率は36.8%の病院でのみ、個々の外科医に報告されていた。

以上より、カナダの救急病院においては、効果的な感染制御プログラムの必須項目は満たされていなかった。したがって、今後、病院感染および耐性菌に関連した罹患率、死亡率、さらには経費を縮小するためには、推奨されている必須条件を満たすためのさらなる投資が必要である。

(訳:巨勢典子、木津純子)

Carlisle Vol.9 No.1 p8-11 Spring 2004

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