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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.9 No.2 Summer 2004

取り出し式ペーパータオルに関係する細菌の伝播および交差汚染の可能性について

Calfee, D.P., Giannetta, E.T., Durbin, L.J., et al.
Bacterial transfer and cross-contamination potential associated with paper-towel dispensing.
Am. J. Infect. Control, 31:387-391, 2003.

 病気(感染症)の伝播に手指が関与することは既知の事実であり、それゆえ手指消毒の重要性が認識されている。一方、手指の乾燥に使用する取り出し式ペーパータオルが汚染源となる可能性があり、増加する手指洗浄装置の機能が疑問視されている。もし単独または複数の人々が人間の皮膚の代表的な細菌叢により汚染されるならば、手指、タオルおよびタオル供給装置の間で、細菌の伝播および交差汚染の可能性が想定されることから、本研究に着手した。

 一般的な壁に固定した取り出し式ペーパータオルを実験に使用した。Micrococcus luteusおよびSerratia marcescensを人の皮膚の代表的な常在菌および寄生菌として試験に供した。取り出し式ペーパータオルの出口の表面およびペーパータオルへの手指由来細菌の伝播をM. luteusおよびS. marcescensを使用し、評価した。実験の前に手指を標準化した5段階のプロトコル(始めに石鹸を使用し、リンスし、次いで抗菌薬入り石鹸を使用し、リンスし、最後にペーパータオルで乾燥する)に従い洗浄した。また、取り出し式ペーパータオルの出口は3段階のプロトコル(次亜塩素酸系のサニタイザー、滅菌水によるリンスおよび70%アルコール配合ワイプの使用)に従い洗浄した。

 汚染した手指で清浄な取り出し式ペーパータオルの出口に触れたときの細菌の伝播率を見たとき、清浄なペーパータオルほど細菌の伝播率が大きかった。一方、汚染した取り出し式ペーパータオルの出口から清浄な手指への細菌の伝播(逆の伝播)率は12.4~13.1%であった。M. luteusの場合、分離される細菌数(平均)は、取り出し式ペーパータオルの出口表面の前面で8.72×103cfu、後面では6.14×103cfuであり、平均伝播率は、それぞれ0.03%および0.02%であった。一方、S. marcescensの場合、分離される細菌数(平均)は、取り出し式ペーパータオルの出口表面の前面で4.5×103cfu、後面では1.61×103cfuであり、平均伝播率は、それぞれ0.05%および0.02%であった。

本研究結果より、もし取り出し式ペーパータオルまたは手指のどちらかが汚染しているならば、取り出し式ペーパータオルと手指との間で細菌類が行ったり来たりする(ジグザグする)伝播が起こることが示唆され、衛生面での配慮が必要と考えられる。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.9 No.2 p8-11 Summer 2004

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