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Y's Letter
感染対策情報レター
2005/10/03

間歇的導尿における感染対策


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Y’s Letter Vol.2 No.5
Published online 2005.10.03

はじめに

間歇的導尿は脊髄損傷時などに生じる神経因性膀胱を代表とする排尿障害を有する患者を対象に行う排尿方法の一つです。尿道を介して膀胱に直接カテーテルを挿入するために適切な方法で実施しなければ粘膜損傷や感染症を引き起こす可能性があります。以下間歇的導尿について感染対策の観点から述べます。

間歇的導尿の意義

尿路感染は病院感染において最も頻度の高い感染症です。その原因の多くは留置されたカテーテルによるものであり、4日間以上にわたり開放式カテーテルを留置することで実質的に100%尿路感染症を引き起こすとも言われています1)。閉鎖式留置カテーテルを使用することにより感染のリスクを低下することが期待できますが、閉鎖式であっても留置後10~14日で半数に細菌の定着が見られるため2)、感染のリスクが高い処置と言えます。従って尿道留置カテーテルの使用が適当であるかの評価が必要であり2)、他の排尿方法が可能であれば、できるだけ早期にカテーテルを抜くことが望まれます。排尿障害を有する患者における尿道留置カテーテル以外の排尿方法としては間歇的導尿、膀胱瘻などがあります。その中で間歇的導尿は現時点において最善の方法であると言われています。

間歇的導尿は脊髄損傷、脳血管障害、パーキンソン病、糖尿病などが原因で生じる神経因性膀胱と前立腺肥大症などの器質的な障害による排尿障害に対して適用されます3)。間歇的導尿には患者自身および家族など介助者でも比較的容易に行うことができるという利点がありますが、患者や家族では完全な無菌操作を行うことが困難という側面もあります。しかし、非無菌的な操作であっても定期的に導尿をして膀胱の内圧上昇と過伸展を起こさせないようにすれば尿路感染症のリスクは低下すると言われています4)5)。とはいえ、間歇的導尿の実施期間中に感染症を生じた報告も数多くあり6)7)8)9)10)、その感染率は報告により異なりますが、非無菌的導尿では42.4%、無菌的導尿では28.4%であったとの報告もあります11)。このようなことから間歇的導尿であっても感染のリスクがあるため、不潔なカテーテルを使用することは望ましくなく、適切な保管管理やカテーテル操作の習得が必要であると言えます。

間歇的導尿時の感染対策

膀胱内に過剰量の尿を貯めないことが最も有効な感染対策の手段です12)。導尿回数は1日5~6回程度を目安とし、1回の導尿量は300mL以下にします13)。導尿を行う場合には実施する前に手洗いをし、消毒綿などで陰部を清潔にしてからカテーテルを挿入します。挿入の際には尿道粘膜を損傷させないように潤滑剤を使用し、適切な手技にて残尿のないように行います。使用するカテーテルは使い捨てが望ましく、繰り返し使用する場合には使用毎に洗浄・消毒をします。カテーテルの再処理方法としては、アルコールに5分浸漬する方法14)、塩化ベンザルコニウムやポビドンヨードなどの消毒薬を入れたキット内に保管する方法の他に、カテーテル挿入時に使用する潤滑剤と消毒薬をあらかじめ混合した製剤を使用して保管する方法があります。この方法にはカテーテル挿入前に潤滑剤を塗布する工程が省略できるという利点があります。この場合、使用後のカテーテルは水洗いまたは消毒綿で清拭を行い、消毒薬を含有する潤滑・保存液の入ったキット内に収納します。

消毒薬を含有する潤滑・保存液

カテーテル挿入時の粘膜損傷を予防する目的でグリセリン、オリブ油、キシロカインゼリーなどの潤滑剤が使用されています。またカテーテル使用後に保管しておくキットの中に消毒薬を入れておく必要がありますが、先に述べた通り、消毒薬と潤滑剤をあらかじめ混合した製剤を使用すると簡便です。消毒薬と混和する潤滑剤としては水溶性であるグリセリンを選択します。グリセリンと混和する消毒薬としては塩化ベンザルコニウムやポビドンヨードなどが使用されていますが15)16)、ポビドンヨードの場合はカテーテルへの影響に注意が必要です。クロルヘキシジンを使用した例もありますが17)、粘膜への使用によるアナフィラキシーショックの報告により、クロルヘキシジンの尿道などの粘膜への使用は禁忌となっています。

キット内の潤滑・保存液の交換は少なくとも2日に1回程度行います18)。交換時にはキット内を温水で洗浄し、十分に水を切った後に新しい液を入れます。定期的な交換をせずに長期間にわたり使用することで微生物汚染を招くことがあります19)。微生物汚染は繰り返し使用による水分の混入によって生じやすくなると思われるため、カテーテルを水で洗浄した後はしっかり水を切ってキット内に保管します。

おわりに

間歇的導尿は留置カテーテルよる生活制限がなく、自宅、病院、外出先でも比較的容易に導尿が実施できるため、患者のQOL向上を期待できる方法です。しかしながら、感染症などの合併症を生じる危険性もありますので、患者や家族などに対する適切な導尿方法やカテーテル管理方法などの指導が肝要です。

<参考>

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