Y's Square:病院感染、院内感染対策学術情報 > 感染対策学術情報 > 医療関連感染情報季刊誌より(Carlisle) > Review > 感染予防策 > 予防策全般 > 床などの表面消毒の有用性
Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.9 No.4 Winter 2005

床などの表面消毒の有用性

Rutala, W.A., Waber, D.J.
The benefits of surface disinfection.
A.J.I.C., 32:226-231, 2004.

 消毒薬の効果的な使用は、細菌感染の防止に有効である。損傷のない皮膚と接触する環境表面はノンクリティカル(NC)に分類される。環境表面との接触は患者への感染伝播の危険性が低いことから、床清掃に消毒薬を日常的に使用することに賛否両論がある。そこで、環境表面、器具表面、患者ケア区域の床に消毒薬を使用すべきかについて疫学・臨床・実験データなどを紹介する。

 1)Mayfieldらは環境表面を塩素系(1:10)と四級アンモニウム塩系(QAC)を使用した清掃では、塩素系が有効であると述べている。2)環境表面に対する消毒薬・洗浄剤の効果を評価する大規模な研究はない。3)血液等によって汚染された表面には消毒薬が必要である。米国環境保護局(EPA)は、HBV/ HIVの消毒には次亜塩素酸Na(NaOCl)希釈液使用を推奨している。4)洗浄剤の使用は細菌を拡散させる。Dharanらは洗浄剤での床と備品の清拭は、環境表面の細菌汚染を増加させたと報告している。5)消毒薬は洗浄剤より床の細菌負荷を減少する。床清掃の清潔度は、石けんと水(80%減)よりフェノール消毒薬(99%減)が優れている。6)CDCガイドラインは血液汚染時、ベッドサイド器具と環境表面の消毒を勧告している。7)APIC消毒ガイドラインは目に見える血液汚染、多剤耐性菌発現時は消毒薬の使用を勧告している。8)NCな患者ケアや器具表面は通常消毒され、消毒薬の使用はスタッフ訓練と適正使用を助長する。

 DaschnerとSchuster、Dettenkoferらは関連論文で以下のように提起している。1)環境表面への定期的消毒はドイツ連邦感染管理ガイドラインで勧告している。2)使用頻度の高い殺菌剤や抗菌薬に対する菌の耐性化に関して、実験室での耐性は実用濃度とかけはなれている。3)グルタラールなどで皮膚刺激やアレルギーの報告があり、CDCはNC器具や環境表面に高水準消毒薬を使用しないと勧告している。NaOClやQACでまれに皮膚刺激や喘息の報告がある。4)殺菌剤が環境汚染について、QACは下水処理施設の微生物に影響を与えることはないが、EPAは病院の消毒薬の下水への排出を認めていない。病院の消毒薬の研究は環境と健康を考慮し、危害と利益を同じ方法論で行うべきである。NCな環境表面・器具表面・患者ケア区域の清掃には消毒薬の使用は適正であると考える。

(訳:白石 正)

Carlisle Vol.9 No.4 p8-11 Winter 2005

関連サイト