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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.10 No.1 Spring 2005

看護師の人員数および技能は病院感染の主要な決定因子か?

Hugonnet, S., Harbarth, S., Sax, H., et al.
a major determinant of nosocomial infection?.
JAMA, 290:2976-2984, 2003.

 本総説は、経営の合理化を目指した病院再編成や看護師の人員不足あるいは技能不足が、病院感染に与える影響に焦点をあてて、最近発表された論文をもとに検討したものである。たとえば、Needlemanらの研究では、看護師の配属状況と内科患者の感染症発生状況を調べた結果、配属看護師を増やせば、尿路感染症を9%、肺炎を6%減少させる可能性があることを示している。Choらの研究においても、配属看護師の労働時間を1時間増やすと8.9%、配属看護師の割合を10%増やすと9.5%肺炎発症を減少させることが示されている。さらには、重病患者4,000人において、ICUに配属されていない看護師のケアを受けるとカテーテル関連の感染症発症が高率になったというAlonso-Echanoveらの報告もある。また、主に医療従事者によって引き起こされることが知られているMRSAの病院感染に関する研究も多く、ViccaはMRSAの発生が人員不足による手の衛生状態の悪化に関連することを提示し、Andersenらは新生児集中治療室において、看護研修生の多数受入によるMRSAの発生を報告している。

 各国で看護師の高齢化と減少が問題となっており、専門領域を十分に研修していない看護師の割合が増えていることが報告されている。さらには、経営の合理化という運営方針に従い、看護師を削減する病院が増えている。しかしながら、Aikenらは、疲労度が医療関係者の標準値を越えている、あるいは仕事への不満を強く訴えている看護師は約40%に達しており、さらに担当患者を追加すると疲労度、仕事への不満、患者の死亡数が各々23%、15%、7%増加することを報告している。このような仕事への不満や疲労は、長期休暇を導くことにつながり、さらなる患者への不利益をもたらす可能性がある。

 人員不足と病院における予防可能な有害事象の関連性に焦点をあてた研究には多くの制限があり、直接的な因果関係を証明することは困難である。しかしながら、看護師の配属変化により病院感染が増加したというエビデンスは無視できないものであり、看護師の人員数および技能が病院感染に影響を及ぼす可能性があることを十分指摘している。今後、経済性も考慮した上で、病院における患者と看護師の最適な比率を決定するためには、さらなる調査が必要であるが、スタッフの配属問題は、医療のあらゆる質の改善に必要不可欠のものであり、十分な考慮が必要である。

(訳:石井絵美、木津純子)

Carlisle Vol.10 No.1 p8-11 Spring 2005

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