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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.10 No.3 Autumn 2005

医療従事者の手によって媒介されたバンコマイシン耐性腸球菌

Duckro, Amy N., Blom, Donald W., et al.
Transfer of Vancomycin-Resistant Enterococci via Health Care Worker Hands.
Arch. Intern. Med., 165:302-307, 2005.

医療従事者は、院内で無意識にバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)を運搬してしまうような行動をとる可能性がある。医療従事者は、VREに汚染されている患者皮膚に触れたり、汚染されているベッドの脇を触ったりすることがあり、結果的に医療従事者の手が汚染されることがある。しかし、汚染された病院環境や患者皮膚がVREの拡大において果たす役割は不確実であり、医療従事者の手を経由した伝播は証明されていない。今回、日常的なケア中に、汚染された医療従事者の手を経由して、VREが清潔な環境や皮膚へ伝播する頻度を測定することとした。

VREのコロニーを形成している22人の患者の無傷の皮膚や患者の部屋に接触する機会のある98人の医療従事者に対し、日常的なケアの前と後の手指および手袋の培養を行うとともに、医療従事者が触った場所について観察者による記録をとることとした。培養物をパルス・フィールド・ゲル電気泳動法で単離し、培養陰性であった医療従事者の手あるいは手袋が、VREのコロニーを形成している場所や汚染された場所に触れ同じ型のVRE陽性になった場合、さらには、培養陰性であった場所に医療従事者が触れて同じ型のVRE陽性になった場合について、VREが伝播したと定義した。

結果として、98人の医療従事者は243回患者に触れ、673回環境に触れていた。触れた陽性場所としては、鼠蹊部、ベッドレイル、寝具、手首などが多く、これらに触れた後、151のVRE陰性の場所に触れていた。このうち接触後にVRE陽性となったのは16(10.6%)箇所であった。触れた後にVRE陽性になった率が高かったのは、血圧計のカフと肘前窩であり、ベッドテーブル、足首、石鹸容器、寝具などの率は低かった。これら伝播回数の分析は、今後の感染制御に関する研究に寄与すると思われる。

以上より、医療従事者が患者皮膚へ接触したり部屋の清掃をしたりする際に、手や手袋を介してVREが伝播することが示された。VREの制御には、医療従事者の手指をより衛生的にすることが最も重要なことであるが、環境を清潔にすることや、患者皮膚表面から原因菌を除去することも重要な補助的役割となる可能性がある。

(訳:松本雅弘、木津純子)

Carlisle Vol.10 No.3 p8-11 Autumn 2005

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