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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.11 No.1 Spring 2006

集中治療室における患者用ファイルの汚染:症例記録ノートを入れた後の完全な手指洗浄の適用

Panhotra, B.R., Saxena, A.K., and Al-Mulhim, A.S.
Contamination of patient’s files in intensive care units:An indication of strict handwashing after entering case notes.
Am. J. Infect. Control., 33:398-401, 2005.

ベッドサイドの患者用ファイルの汚染の程度および病院の高リスク領域における汚染に起因する細菌フローラの範囲については明確には知られていない。本研究の目的は患者用ファイルの汚染状況を調べることと院内感染起因菌の伝播の二大高リスク域である集中治療室(ICU)および外科病棟での汚染された細菌フローラの範囲を比較することであった。

滅菌生理食塩液を浸した滅菌綿棒で、ICUおよび外科病棟のベッドサイドに置かれている患者用ファイルの開封された外側表面から、微生物を回収した。回収した試料は回収後1時間以内に血液寒天およびマッコンキー寒天培地に植え、37℃で48時間培養した。グラム染色、カタラーゼ試験、オキシダーゼ試験、API20EおよびAPI20NEにより、グラム陰性桿菌を同定した。ブドウ球菌はグラム染色、カタラーゼ試験およびコアグラーゼ試験で同定した。分離菌の抗生物質感受性は米国臨床検査標準化委員会(NCCLS)の基準に従い、ディスク希釈法で求めた。

ICUでは85.2%(102件中87件)で、また、外科病棟では24.7%(87件中22件)で、患者用ファイルが病原性細菌および病原性の可能性のある細菌で汚染されていた(オッズ比が17.664;95%信頼区間は8.050-39.423,危険率1%未満)。緑膿菌はICU内で最も頻繁に分離される細菌であり、一方、黄色ブドウ球菌は外科病棟のファイルで汚染がピークに達した(11.2%,89件中10件)。MRSAはICUの患者用ファイルの6.8%から分離された(102件中7件)。一方、外科病棟ではMRSAに汚染されていたファイルはわずかに1.1%(89件中1件)であった(オッズ比が6.484;95%信頼区間は3.215-13.463,危険率1%未満)。患者用ファイルから分離された多剤耐性緑膿菌、アシネトバクター・バウマンニ、肺炎桿菌およびセラチア菌は患者からの分離菌と類似する抗生物質耐性パターンを示した。

ICUにおける患者用ファイルの多くは多剤耐性菌およびMRSAに汚染され、汚染ファイルは感染の伝播源となっていた。これを防ぐため、患者を看た後や患者用ファイルの中にノートを入れる前に、手指消毒の励行を強調したい。汚染されたファイルを手にした後のヘルスケアー従事者による良好な手指衛生状態の維持は、ICUおよび外科病棟を含めた高リスク域において、患者間での感染を防ぐための最も用心深い対応処理である。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.11 No.1 p12-14 Spring 2006

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