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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.11 No.1 Spring 2006

アルゼンチンにある第三次医療病院のICUにおける手指衛生の改善に伴う院内感染の低下

Rosenthal, V.D., Guzman, S., and Safdar, N.
Reduction in nosocomial infection with improved hand hygiene in intensive care units of a tertiary care hospital in Argentina.
Am. J. Infect. Control., 33:392-397, 2005.

アルゼンチンにおける院内感染率が高いことを以前報告した。そこで、手洗いの実施率を高めるための教育、訓練、データのフィードバックを実施することによって、院内感染防止との関連について検証することを目的に本研究を行った。ブエノスアイレスにある第三次医療教育病院(180床)の外科ICU(S-ICU:12床)と冠疾患ICU(C-ICU:12床)を対象とした。

研究は感染対策委員会や臨床研究審査委員会の承認を得て実施した。手指消毒は、水洗い、非抗菌石けんと流水、擦式消毒とした。2000年9月~2002年5月の間に4,347人の手洗いデータが収集され、2000年9月~12月を実情調査期(第一段階)、2001年1月~2002年5月を実際の介入期(第二段階)とした。スタッフ教育は、感染管理マニュアルとAPICの手指衛生ガイドラインを使用し、1週間の全勤務帯で毎日1時間、グループ会議を行った。ICU主任や管理者への報告を含み、手洗い実施率と院内感染率などの情報をグラフ表示し、会議などでの報告やICUへの掲示を行った。2001年1月に教育開始、5月にデータ表示のフィードバックを実施した。院内感染の定義は、呼吸器関連肺炎、カテーテル関連血流感染および尿路感染を対象とした。手洗い実施率は、第一段階の23.1%(268/1,160)から第二段階64.5%(2,056/3,187)まで改善された(RR, 2.79;95%CI:2.46-3.17;p <0.0001)。

さらに、期間を分割し、第1期2000年9~12月、第2期2001年1~6月、第3期2001年7~12月、第4期2002年1~5月までとして分析した。手洗い実施率は、第1期(268/1,160:23.1%)よりも第2期(724/1,353:53.5%)と第3期(828/1,148:72.1%)が高く、第3期と第4期は類似していた。また、看護師(59.6%)の実施率は医師(30.8%)や補助要員(37.1%)より高く、午後の勤務(50.2%)よりも夜間勤務帯(66.0%)が高く、C-ICU(53.6%)とS-ICU(53.5%)に差がなかった。同時期での2つのICUの合計院内感染は、1,000患者日数当たり47.55(104/2,187)から27.93(207/ 7,409)まで減少した。

このように、教育プログラムと頻回なデータのフィードバックの実施は手洗い実施率を高め、院内感染防止の低下をもたらすことが示唆された。

(訳:白石 正)

Carlisle Vol.11 No.1 p12-14 Spring 2006

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