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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.11 No.3 Autumn 2006

結核が疑われる患者の空気感染隔離病棟使用の有効性の評価

Leonard, M. K., Egan, K. B., Kourbatova, E., et al.
Increased efficiency in evaluating patients with suspected tuberculosis by use of a dedicated airborne infection isolation unit.
Am. J. Infect. Control., 34:69-72, 2006.

1980年代や1990年代初期に米国では結核が再流行し、多数の院内感染が起こり、医療従事者にも感染した。

Grady Memorial Hospital(GMH)は1,000床の大学提携公立病院であり、結核患者が多発しているアトランタ中心部に建っている。GMHは、1999年5月に、空気感染隔離(AII)病棟(26床)を開設し、結核が疑われた患者(肺結核患者、鑑別診断で結核と判定された患者、抗酸菌喀痰検査が指示された患者、咳または胸部X線で異常が認められたHIV患者)を隔離することとした。AII病棟は個室で、控え室を有し、陰圧になっており、AII病棟の医療従事者は結核または結核の疑いがある患者の看護に関する教育を受けている。また、AII病棟では8時間毎に喀痰塗抹検査を行い、抗酸菌が3回陰性で、結核の疑いがなければ、AII病棟から出ることとした。

GMHのAII病棟において、Ⅰ期(1998年6月~11月、AII病棟開設前)、Ⅱ期(1999年6月~7月、開設後1カ月)、Ⅲ期(2001年5月~8月、開設2年後)に、入院患者の調査を行った。また、AII病棟が満室の時は、他の病棟の陰圧室に入院させた。全部で879人の患者が入室し、70%はHIV陽性であった。結核ではない患者で、抗酸菌塗抹検査が3回陰性となり、結核が除外されるまでの期間は、Ⅰ期では平均5日であるが、Ⅲ期では3.3日と有意に短縮していた。また、全患者のⅢ期の病棟隔離期間は、AII以外の病棟では5.9日であるが、AII病棟では3.5日と有意差が認められた。隔離患者と結核と診断された患者の割合は、Ⅰ期、Ⅱ期とも8:1であり、Ⅲ期は12:1であった。HIV陽性患者では21:1、HIV陰性患者では3:1であった。

GMHでは年間約1,500人の患者を隔離しているが、結核感染患者は1割である。AIIは医療従事者や他の患者への結核の院内感染を防ぐ有効な手段であることは疑いない。入院日が1年間で約3,000日短縮されることにより、看護師や呼吸セラピスト等の経費が1日500ドル削減されると見積もられ、有用性が認められた。

(訳:豊口禎子)

Carlisle Vol.11 No.3 p8-10 Autumn 2006

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