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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.11 No.3 Autumn 2006

指導者の手指衛生の実践が学生の手指衛生率に及ぼす影響

Michelle Snow, R. N., White, G. L. Jr, Alder, S. C., et al.
Mentor’s hand hygiene practices influence student’s hand hygiene rates.
Am. J. Infect. Control., 34 : 18-24, 2006.

手指衛生は病院感染を予防する上で重要な要素の一つであるが、医療従事者の手指衛生率が低いのが現状である。今回、クリニカルローテーション時の指導者の手指衛生の実践が学生の手指衛生率に及ぼす影響、事前の医療の経験の有無による学生の手指衛生率の違い、手指衛生に関する学生の意見について調査した。

認定看護プログラムに在籍している60人の学生を対象とし、医療に従事した経験の有無により2つのグループに分類した。クリニカルローテーションの初日に最初の評価を行い、開始後30日目に2回目の評価を行った。評価項目は、手指衛生、医療従事の経験、性別、手袋の装着、年齢、指導者の手指衛生の実践とした。さらに、2回目の評価が終了後、学生に手指衛生に関するアンケート調査を行った。アンケート項目は、学生の手指衛生に対する考え方、手指衛生が保たれていないという認識、手指衛生の必要性、手指衛生を実践する学生の能力、医療関係者の手指衛生の頻度とし、リッカートスケール(決してない:10、常に:100とする評定尺度である)を用いてスコア化した。

両評価点において、指導者の手指衛生の実践が、最も学生の手指衛生率に影響を及ぼす因子となることが確認された。さらに、事前に医療経験のない学生においては、最初の評価より2回目の評価において、手指衛生率が著明に増加していることが認められた。手袋の装着も手指衛生率の増加に関連していた。また、男子学生は女子学生と比較し、最初の評価においては手指衛生の実行率が30%低かったが、2回目の評価においては、性差は認められなかった。アンケートは47名の学生より回収することができ、手指衛生に対する強い義務感、必要性の確信、手指衛生実践の可能性について、90という高いスコアを示していた。

以上より、指導者の手指衛生の実践と手袋の装着は学生の手指衛生に関連しており、手本を示すことが手指衛生を定着させるのに重要であることが認められた。しかし、評価終了後のアンケート調査で、学生において手指衛生に対する積極性が認められたにもかかわらず、実際の手指衛生率は総合的には低い水準であった。すなわち、指導者の手指衛生の実践が学生に及ぼす影響は、短期間にとどまることが示唆された。

(訳:荻野弘美、木津純子)

Carlisle Vol.11 No.3 p8-10 Autumn 2006

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