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EURO Update
欧州(Eurosurveillanceより)
2007/10/25

オーストリアで発生したUSA300市井獲得黄色ブドウ球菌クローン

Occurrence of the USA300 community-acquired Staphylococcus aureus clone in Austria.の要旨
Eurosurveillance Weekly October 25, 2007, Vol.12, No.10

http://www.eurosurveillance.org/ew/2007/071025.asp#1

メチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)分離株は、市井においても注目すべき病原体である。市井獲得MRSA(CA-MRSA)と病院獲得MRSA(HA-MRSA)では、ブドウ球菌染色体カセット (SCC) mec typesや、毒素遺伝子の分布、抗菌剤感受性において本質的な違いがある。
CA-MRSAは、Panton-Valentine leucocidin(PVL)遺伝子であるlukS-lukVを保有することが多いが、PVLを産出するMRSAは、主に皮膚や軟組織の感染だけでなく壊死性肺炎を含む重症浸潤性疾患の原因となる。
ヨーロッパでは、PVL陽性のCA-MRSAが全ての分離株中3%を占めており、その中でもST80(spa type t044)が最も多い。
USA300 ST8(spa type t008)は、アメリカでは公衆衛生上大きな問題を引き起こす市井獲得感染の主な原因となっているが、最近ではヨーロッパのいくつかの国でもその発生が報告されている。
2005年以降、オーストリアでは、the National Reference Laboratory of Staphylococciが無料のMRSA分離株検査を行っており、その結果、約1,500件の分離株中9件がspa type t008であり、PVL遺伝子とSCC mec IVa遺伝子要素を持ち、USA300 PFGEパターンを産出するものであることが判明した。
USA300の拡散力を考えると、ヨーロッパでの蔓延を防ぐためにはその早期発見が重要である。
現時点において、CA-MRSAはオーストリアの感染症制御法によってカバーされていないため、報告の法的義務付けはされていない。公衆衛生当局は、CA-MRSAの流行に対する準備を整え、流行を制御するために必要な法整備を行うべきである。
<訳註>
市井獲得MRSAについては、Y’s Review  市井獲得メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を参照ください。
Eurosurveillance 2007.10.25/ Yoshida Pharmaceutical Co Ltd: 2007.10.29

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