Y's Square:病院感染、院内感染対策学術情報 > 感染対策学術情報 > 医療関連感染情報季刊誌より(Carlisle) > Review > 感染予防策 > 接触予防策 > 手指衛生の効果におけるNurse Cohortingの影響
Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.12 No.2 Summer 2007

手指衛生の効果におけるNurse Cohortingの影響

Beggs CB, Noakes CJ, Shepherd SJ, et al.
The influence of nurse cohorting on hand hygiene effectiveness.
Am J Infect Control 2006; 34: 621-626.

最近の医療の進歩、さらには医療施設の活動にも関わらず、入院時の感染症発症率は高いままであり、入院期間中におよそ10人に1人の割合で感染症を発症している。患者と医療従事者が直接接触することが、病棟内および病棟間で外因性感染症が拡大する主要な経路であると考えられている。したがって、手洗いは感染症を予防する手段として、最も重要なものである。しかしながら、手指衛生の遵守率は、大部分の施設において約40%と低いのが実状であることから、院内感染率が高いままであるのは、手指衛生の不徹底に起因すると考えられる。しかし、その考えは手指衛生の効果について、その他の因子が関与しない、との仮説のもとで成り立っており、医療従事者の配置と手指衛生との関連性については、ほとんど考慮されていないのが現状である。

患者と医療従事者の接触率に関連した院内感染に関しては、既に多くの研究がなされている。一方、手指衛生の遵守率の低下には、仕事量の増加が関連していると考えられており、一般的に仕事量が多い状況下では手指衛生の遵守率が低くなり、院内感染が発症すると推測されている。この推測が事実であるとすると、手指衛生の有効性に強く影響を及ぼす可能性のある重要な業務遂行上の問題を無視することになる。とくに、伝播の可能性のある経路と手指衛生との関連性について、多くの要因が見落とされていることになる。

そこで本研究では、単純な数学的方法を用いて、手指衛生の影響とNurse Cohortingの確率に関する効果的再現数の検討、ベッド数の変動に伴う感染伝播における手指衛生の効果に関する相対的影響率の検討、さらには看護師の配置人数についても同様な検討を行った。

その結果、Nurse Cohortingは外因性感染症を制御する上で重要であり、高い感染症発症率には、看護に関連した要因があるという事実が見落とされがちであることが確認された。手指衛生は勿論重要であるが、人手不足のときや入院患者が過剰のときなど、伝播性のある患者-医療従事者-患者の接触の機会が多かった場合には、手指衛生のみで院内感染を制御するのは不十分である可能性が示唆された。したがって、病院内における感染の伝播を防ぐには、手指衛生の実施とNurse Cohortingの併用がより効果的であることが認められた。

(訳:荻野弘美、木津純子)

Carlisle Vol.12 No.2 p8-10 Summer 2007

関連サイト