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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.13 No.1 Spring 2008

手術室で使用する携帯電話および固定電話による麻酔専門医の手指の細菌汚染

Jeske HC, Tiefenthaler W, Hohlriedier M, et al.
Bacterial contamination of anaesthetists’ hands by personal mobile phone and fixed phone use in the operating theatre.
Anaesthesia 2007;62:904-906.

院内感染はすべての近代的な病院における重大な問題である。1861年ゼンメルワイスは細菌が医療従事者の汚染された手指により患者へ伝播することを示した。公衆的(一般的)意見として病院の手術室は最も高度な衛生基準を有する場所である。同様な衛生面の要求は、そこで仕事をする人々および従事者が使用する機器にも要求される。携帯電話は長期にわたって手術室では禁じられてきた。けれども、ここ数年間、新規の携帯の使用が一般化してきた。これは全て携帯電話に関係する重大な問題についての報告の欠如が原因と考えられる。

携帯電話は、身体に接触する位置で使用される。そして、大部分は非医療機器であるため、病院の基準に合致する洗浄のガイドラインがない。そのため、手術室における携帯電話の使用を含めた衛生的なリスクは、いまだ決定されていない。

本研究の目的は、携帯電話から医師の手指への細菌の伝播に関係する携帯電話の役割を評価することであった。また、手術室の前室に設置された壁に備え付けの電話を使用し、同様の実験を比較の意味で実施した。

研究は、Ethics大学の委員会の承認を得て、インフォームドコンセントは研究への参加者より得た。手術室での通常の業務である4~6時間後に続いて、40人の麻酔専門医にアルコールベースの手指ラビング剤(ステリリウム・、ドイツ)を使用する手指消毒について質問した。適切に手指を洗浄したことを文書で記録・保存するために、5本の指先で寒天培地を使用し、担当医師の両手の指先から培養するためのサンプルを得た。

その結果、携帯電話の使用後、医師の手指の細菌汚染は40人中の38人で検出されることを認めた(40人中の4人で人間由来の病原菌が認められた)。手術室の前室において固定電話を使用して、同様な研究を繰り返した後では、40人中の33人の医師で細菌汚染が認められた(40人中の4人で人間由来の病原菌が認められた)。

このパイロットスタディにおいて、手術室内で仕事をする麻酔専門医による携帯電話または固定電話の使用は、人間に由来しない病原菌での高率の汚染だけではなく、より重要であるが、人間に由来する病原菌での汚染が10%に達することが示唆された。

このことより、手術室において携帯電話を使用する利益は、気付かれていない汚染のためのリスクと比較して、重くすべきである。

(訳:坂上吉一)

Carlisle Vol.13 No.1 p9-11 Spring 2008

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