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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.13 No.2 Summer 2008

包括的“Bundle”導入による大学病院での強毒性クロストリジウム・ディフィシルBI株感染のアウトブレイクの制御

Muto CA, Blank MK, Marsh JW, et al.
Control of an Outbreak of Infection with the Hypervirulent Clostridium difficile BI Strain in a University Hospital Using a Comprehensive“Bundle”Approach.
Clin Infect Dis 2007;45(10):1266-1273.

クロストリジウム・ディフィシル(CD)感染は、病院感染(HA)による下痢の中でも重要な疾患である。3%が中毒性巨大結腸症、穿孔、直腸切除、死亡などの重篤症状をきたすと言われ、とくに、近年ではトキシンA、Bを過剰産生する強毒性CDが“epidemic BI strain”(BI株)として報告されている。CDの感染制御には、CDCからバリア予防策が推奨され、他のガイドラインにも環境清掃、直腸温度計の単回廃棄、内視鏡の消毒、抗生物質の使用制限など種々の感染管理方法が記載されている。

ピッツバーグ大学病院では、2000年6月にHA CD感染が退院患者1,000人あたり10.4人に達し、年間の感染も退院患者1,000人あたり2.7人(1999年)から7.2人(2000年)に増加した。また、2001年に単離されたHA CDの51%(47/92)はBI株だった。そこで、ピッツバーグ大学病院はアウトブレイク制御のため、包括的CD感染制御“bundle”を順次導入することとした。

CD感染制御“bundle”では、CDに関する教育、症例増加の検出や感染者の早期発見、環境清掃や手指消毒・長期の患者隔離などを含む感染制御、感染制御チームの立ち上げ、抗生物質の管理を行った。また、処置法や抗生物質の使い方、HA CD発生率を解析するとともに、CDを分離同定した。

その結果、手指消毒と患者隔離の遵守率はそれぞれ75%と68%であった。CD感染制御チームは1カ月に平均31人の患者を評価し、11%は中等度から重症と評価された。抗生物質の使用量は、CD感染のリスク増加に伴い、2003年から2005年に41%減少した(p<0.001)。2001年から2006年の平均CD感染発生率は、退院患者1,000人あたり4.8人に減少し(p<0.001)、さらに2006年には3.0人となり71%も減少した(p<0.001)。2000年から2001年の重症CD感染者は9.4%(37/393)でピークとなったが、2002年には3.1%、2006年には1.0%に減少し、全体として78%も減少した(p<0.001)。2005年に分離されたCDは13%がBI株(20%がHA)であり、2001年に比べて著しく減少した(p<0.001)。

以上のことより、ピッツバーグ大学病院のBI株アウトブレイクは、包括的“bundle”を導入することにより制御することができた。さらに、適切な感染制御と早期の症例検出を行うことにより、CD感染率と有害事象の発生頻度を減少させることが明らかとなった。

(訳:寺島朝子,木津純子)

Carlisle Vol.13 No.2 p13-15 Summer 2008

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