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US Update
アメリカ(CDC-MMWRより)
2008/01/04

小学校で発生したノロウィルス集団感染-コロンビア特別区(ワシントンD.C.) 2007年2月

MMWR January 4, 2008,Vol.56 No.51&52
Norovirus Outbreak in an Elementary School — District of Columbia, February 2007 の要旨
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5651a2.htm
http://www.cdc.gov/mmwr/PDF/wk/mm5651.pdf

2007年2月8日、コロンビア特別区保健省(DCDOH)は、ある小学校において急性胃腸炎の集団発生があったと発表した。
生徒27名、職員2名が、吐き気、嘔吐、下痢の症状を呈し、その症状の継続が48時間以下であったところから、ウィルス性の疾病であることが疑われた。
DCDOHはこの発表と同時に、1)手洗いの徹底、2)1:50に希釈した漂白剤(訳注:約0.1%、つまり約1,000ppmの次亜塩素酸ナトリウム液に相当)による共有設備の表面の消毒、という2つの対策を学校に対して提案。同日、早速これらの対策が実行されたものの、その翌日には環境表面の一部に目視で確認できるほどの汚れが発見された。

検査の結果、教室にあるコンピューターのマウスやキーボードなどからノロウィルス亜型GⅡが、また、発症した2名の便の検体からも同型のウィルスが発見された。
2月15日、DCDOHは追加の対策として、1)前回の消毒の際に見落とされた、コンピューターの各部分やその他共有設備の表面の清浄、2)発症した生徒、職員については、便にウィルスが含まれている可能性があるため、症状が治まってからも最低72時間は出席停止とすること、の2点を提案した。

<訳註>
編集者、小林寛伊(東京医療保健大学・大学院学長)のコメント:

「確かに、ノロウイルスは、キーボードを含めて、環境から交差感染し、時に空中を介しても感染しますが、その主要な伝播経路は手ー口感染です。ノロウイルス感染症集団発生時は、まず手ー口感染防止のための手指衛生が重要であり、患者周辺環境における作業後の手指衛生、ナースステーション、スタッフコーナーなど間接的患者環境での作業後の手指衛生、これらの遵守が原則です。病院環境は汚染されていて当然で無菌化は出来ません。まず自己に対する接触汚染防止対策、そして交差汚染防止対策、この両方を遵守することが基本です。つまりキーボードの汚染は、事実として認めるにしても、誰かが汚い手でコンピュータを操作したことの方が問題です。これを防止することがまず大切であり、キーボードの消毒、清浄化ばかりが先行しては、本末転倒です。この事実が、病院感染制御策の難しさで、100人中にただ1人が、手指衛生を守らなければ環境を経由した交差汚染が起こります。従って、作業前、作業後の二重の手指衛生遵守が必要になることが、強調されなければなりません。」

ノロウイルスの消毒については、 Y’s Letter Vol.2 No.20 ノロウイルスの消毒-エタノールの使い方を中心に-を参照ください。

MMWR:2008.01.04/ Yoshida Pharmaceutical Co Ltd: 2008.01.08

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