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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.14 No.1 Spring 2009

急性期病院におけるMRSA制御に関する隔離実施と
そのコンプライアンスの役割

Elizabeth J, Halcomb RN, et al.
The role of patient isolation and compliance with isolation practices in the control of nosocomial MRSA in acute care.
Int J Evid Based Healthc 2008;6:206-224.

病院感染は、入院患者において最も一般的な合併症となっており、感染制御がなされているにもかかわらず病院内でのMRSAの伝播が減少していない。さまざまな隔離策が実施されるなど、MRSA伝播を最小に食い止めるよう努力がなされているが、この実施効果が評価されていない。そこで、本レビューは病院内のMRSA伝播を最小に食い止める介入の一つとして、患者隔離実施効果を評価することである。

1990~2005年までに英文で公表された報告を抽出した。関連した英文文献は、公表または未公表の論文を電子データベースとインターネットの文献リストから収集し、さらに公表されたオリジナルレビューについても検索した。データベースはMedline、CINAHL、EMBASE、Cochraneライブラリー、Joanna Briggs協会エビデンスライブラリーを利用して検索した。さらに専門学会の報告、ガイドラインをレビューし、文献リストと図書目録は、以前の原文を確認するため検索した。

以上のレビューを要約すると、
①標準予防策を実施していれば患者を個室に収容することや集団隔離はMRSAの増加に関連しない。
②標準予防策だけの実施は、個室隔離のMRSA患者、ガウン・手袋・マスク装着、手洗いの実施と同様の効果を示すいくらかの根拠がある。
③通常のケアに比較して消毒薬による手洗い、患者ケアに手袋・ガウンを装着した場合では、MRSA伝播の発生率を減少できる限られた根拠がある。
④手洗いのような基本的隔離実施のベースラインコンプライアンスは、多くの臨床現場で低いと思われる。
⑤石けんでの手洗い、手袋装着などの感染制御策は、有効なコンプライアンスである根拠があると思われる。
⑥定期的監視とフィードバックは、スタッフのコンプライアンスを改善し、規定している隔離実施の責任下でできると思われる。
⑦隔離実施のコンプライアンスの改善は、病院内のMRSA伝播を減少させる力となる。

これらを支持するためには、さらなる正確な調査が必要である。

(訳:白石 正)

Carlisle Vol.14 No.1 p8-10 Spring 2009

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