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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.14 No.1 Spring 2009

医療従事者:MRSAの源、媒介体、犠牲者?

Albrich WC, Harbarth S
Health-care workers:source, vector, or victim of MRSA ?
Lancet Infect Dis 2008;8(5):289-301.

医療従事者のMRSA伝播における役割については意見が分かれている。そこで、1980年1月~2006年3月の文献を調査し、医療従事者のMRSA保菌と感染の関係を検討し、MRSA伝播における役割を評価した。

127の研究において、33,318人の医療従事者が調査され、MRSA保菌者は1,545人(平均保菌率4.6%;0~59%、95%信頼区間 1.0-8.2%)であった。18の研究では、医療従事者からMRSAは検出されなかった。また、MRSA保菌者のうち942人は臨床状態が評価可能であり、そのうち48人(5.1%)で症状が認められた。感染症は、皮膚、軟部組織感染症が最も多く、次いで上気道感染症の頻度が高かった。危険因子は、慢性的皮膚疾患、衛生実践の不備、MRSAの多い地域での従事であった。

106の研究で、医療従事者から患者への伝播が調査された。27研究で明らかな直接的伝播が考えられ、52研究では伝播の可能性が認められた。遺伝子型解析を行った68研究のうち63(93%)で、医療従事者から患者への伝播の可能性が認められた。27研究(25%)では医療従事者から患者への伝播は証明できなかった。

MRSAの除菌が510人の保菌医療従事者で行われ、449人で成功した(除菌率88%)。57の研究でMRSA除菌治療がムピロシン単独または他剤併用で行われ、24試験では経口抗菌剤が併用された。治療期間は除菌の成功率に関係しなかった(治療期間の中央値7日、5日間治療で90%除菌成功、7日間治療で82%、10日間治療で93%、14日間で85%)。

MRSA非顕性感染や鼻腔以外の部位での保菌は持続的保菌に関連する。保菌医療従事者への対応は、状況に応じて管理することが推奨されるが、アウトブレイク時やMRSAがまだ多く検出されていない地域では、積極的にスクリーニングや除菌対策をとることが推奨される。

(訳:豊口禎子)

Carlisle Vol.14 No.1 p8-10 Spring 2009

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