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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.14 No.2 Summer 2009

免疫抑制血液疾患患者におけるカテーテル関連血流感染防止に関するヘパリン生食と管腔内エタノールを比較したプロスペクティブ二重盲検無作為研究

Sanders J, Pithie A, Ganly P, et al.
A prospective double-blind randomized trial comparing intraluminal ethanol with heparinized saline for the prevention of catheter-associated bloodstream infection in immunosuppressed haemoatology patients.
J Antimicrob Chemother 2008;62:809-815.

中心静脈カテーテルは免疫力が著しく低下した患者に必要な処置の1つであるが、集中治療におけるカテーテル関連感染の死亡率は12~25%と報告されている。また、これまで小児を対象としたレトロスペクティブ研究や、成人を対象としたプロスペクティブ研究では、70%エタノールロックがカテーテル感染の防止に有効との報告もある。そこで、カテーテル感染防止のために、化学療法を行っている血液細胞腫および造血幹細胞移植患者を対象に、70%エタノールとヘパリン生食を用いた二重盲検無作為研究を行った。

2003年3月~2006年8月の間に鎖骨下静脈にトンネルカフされた中心静脈カテーテル挿入患者を対象とし、カテーテル関連血流感染(CABSI)防止のため無作為に、70%エタノール群とヘパリン生食(コントロール)群に振り分けた。初めのエンドポイントはCABSIの発生とした。包括基準は、18歳以上の成人で血液疾患、造血幹細胞移植を含む処置で好中球減少症が発生しうる集中化学療法を受けるために入院した患者とした。肝機能異常やアルコール乱用歴の患者は除外し、研究開始時に抗菌薬の予防投与が定期的に投与された場合は除外しなかった。好中球減少熱の患者は末梢血と中心静脈カテーテルの両方を血液培養し、ゲンタマイシンの単回投与と広域スペクトルの抗菌薬を投与した。

対象患者は64名で70%エタノール群34名、コントロール群30名であった。70%エタノールとへパリン生食3mLは薬局で無菌的に調製し、毎日カテーテルの各ルーメンに注入された。353日と501日の研究期間中にCABSI発生は、エタノール群で34名中3名(9%、0.06/ 100カテーテル日)、コントロール群で30名中11名(37%、3.11/100カテーテル日)であった(OR=0.18、95% CI 0.05-0.65、P=0.008)。予防的抗菌薬投与患者にCABSIが発生したのは、エタノール群3名中1名、コントロール群11名中2名であった。

以上より、中心静脈カテーテルのルーメンにエタノールロックすることは、CABSIを減少させる効果的方法といえる。

(訳:白石 正)

Carlisle Vol.14 No.2 p8-10 Summer 2009

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