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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.14 No.2 Summer 2009

スウェーデンの保育所におけるアルコール含有手指消毒剤使用による欠席率の減少効果

Lennell A, Külmann-Berenzon S, et al.
Alcohol-based hand-disinfection reduced children’s absence from Swedish day care centers.
Acta Pӕdiatrica 2008;97:1672-1680.

近年、保育所の小児において、ペニシリン耐性S.pneumoniae(PRP)等の耐性菌が問題となっている。スウェーデンでは、1~5歳の小児の85%が保育所に通っている。保育所においても、手指が微生物伝播の重要な媒体であることが確認されている。そこで、0~6歳児が通う保育所で、通常の手洗いに加え、アルコール含有手指消毒剤を使用することにより、小児の欠席率が減少するかを調査した。

スウェーデンの10郡の保育所のうち、社会人口統計、地理、小児の数が大きく違わない2つの保育所を1組として、2004年11月~2005年6月の30週間調査を行った。1組の保育所のうち、一方の保育所では小児、スタッフともに液体石けんで洗浄後、エタノール70%を含有するアルコール系油性消毒ゲル剤1~2mLを擦り込むよう指導し(介入群)、他の保育所では液体石けんのみの洗浄とした(コントロール群)。各手洗いは、トイレ後、食事前、汚れた時に行った。家族背景等の調査は両親より調査票に記入してもらい、保育所の情報はスタッフより得た。感染症のため保育所を欠席したときには、欠席日、症状や受診状況等の報告をするように両親を指導した。

調査対象は30組の保育所であったが、最終的に介入群は16保育所(745人)、コントロール群13保育所(686人)であった。両群で感染症による欠席率を調査したところ、介入群ではコントロール群に比較して、小児の欠席率が12%減少し、両群で有意差が認められた(IRR 95% CI:0.799-0.965)。アルコール含有消毒剤の使用量から見積もると、1日2~6回消毒したと推測された。また、湿疹、手指乾燥、消毒剤の誤飲の報告はなかった。

感染症による欠席率を12%減少することにより、1年間で3,200万USドルの節減が試算され、手指消毒剤経費は1年で170万USドル以下であり、経済効果も見込まれる。保育所で従来の手洗いに加え、アルコール含有擦式消毒剤を使用することは、小児の欠席率減少に有効である。

(訳:豊口禎子)

Carlisle Vol.14 No.2 p8-10 Summer 2009

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