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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.14 No.2 Summer 2009

クロルヘキシジンのヒト皮膚透過性

Karpanen TJ, Worthington T, Conway BR, et al.
Penetration of Chlorhexidine into Human Skin.
Antimicrob Agents Chemother 2008;52(10):3633-3636.

血管留置カテーテル挿入などの組織侵襲的な処置に伴う感染予防において、効果的な皮膚消毒はきわめて重要である。そのため、実際の医療現場では、施設ごとにさまざまな濃度のポビドンヨードやクロルヘキシジン溶液が使用されている。しかし、米国CDCのガイドライン等によると、組織侵襲的な処置に対しては2%(w/v%)クロルヘキシジン溶液の使用が推奨されており、カテーテル血管内留置に伴う感染症の減少効果が認められている。一方、皮膚細菌コロニーは表面のみならず深部にも存在することから、消毒剤の皮膚透過性も重要とされているが、クロルヘキシジンの皮膚透過性については、多くが未だ明らかとされていない。

そこで本研究では、ヒトより採取した皮膚モデルを用いて、2%(w/v%)クロルヘキシジン溶液の皮膚透過性について検討した。採取したヒト皮膚はFranz型拡散セルに固定し、クロルヘキシジンにそれぞれ2分、30分、24時間曝露させた。その後、ミクロトームを使用して表面から1,500μmまでの皮膚を段階的に削ぎ出し、得られた切片より抽出したクロルヘキシジン濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定した。

その結果、クロルヘキシジン曝露2分、30分群ではクロルヘキシジンの皮膚透過性は乏しく(0.157±0.047、0.077±0.015μg/mg tissue、表層100μm以内)、皮膚深部ではさらに低濃度であった(<0.002μg/mg、表層から300μm以上の深部)。また、24時間曝露群では、表層100μm以内ではより高いクロルヘキシジン濃度であったが(7.88±1.37μg /mg tissue)、300μm以上の深部においては短時間曝露群と同様に低濃度であり(<1μg/mg tissue)、皮膚透過性は認められなかった。

本研究で紹介したモデルは、in vitroにおける消毒剤の皮膚透過性の評価に有用であろう。また、今回示されたクロルヘキシジン溶液に関する結果は、臨床現場における皮膚消毒の推進を目的とした、さらなる調査の礎となるだろう。

(訳:橋倉万由子、木津純子)

Carlisle Vol.14 No.2 p8-10 Summer 2009

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