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II 滅菌法・消毒法概説

2 主な滅菌法

1)加熱法2、3、12)

熱によって微生物を殺滅する方法であり、熱に安定な被滅菌物に適用されるが、その効果は加熱を受ける温度と時間によって変化する。被滅菌物の種類、性状や容器の収納状態などによって加熱の受け方は異なってくるので、滅菌装置の内部全体(被滅菌物の入った収納容器を含む)の温度や圧力が設定条件に達したことを確認してから、滅菌時間を計測しなければならない。

(1)高圧蒸気滅菌法

密封された装置内で、熱に安定な被滅菌物を対象にして適当な温度および圧力の飽和水蒸気で加熱することによって微生物を殺滅する方法である。本法はチャンバ(内缶)の空気と飽和蒸気が完全に置換することが重要で、被滅菌物すべてに飽和水蒸気が達することが必要である。この方法の利点は、急速に加熱できて、被滅菌物の深部にまで熱が素早く浸透して、耐熱性の芽胞形成菌を含め、すべての微生物を比較的短時間で確実に殺滅することができる点である。さらに、乾熱法に比べて、多くの器具、物品類、液状物質に適用可能であり、これらの材質劣化や変質なども比較的少なく、医療機関や医薬品製造現場で汎用されている。

高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)の種類としては、重力加圧脱気式高圧蒸気滅菌器と真空脱気プリバキューム式高圧蒸気滅菌器がある。前者はオートクレーブチャンバ(内缶)内の上方に蒸気が、下方に空気が溜まる性質を利用し、蒸気の圧力で空気を上方から下方へ排除する方式である。後者の空気排除の方式には種々の方法があり、それぞれに特徴があり、滅菌効率等が異なる。真空脱気プリバキューム式高圧蒸気滅菌器は重力加圧脱気式高圧蒸気滅菌器と比較して空気除去率が高いため、高温条件(134℃)での滅菌を行うことが可能である。医療機関においては一般的に真空脱気プリバキューム式高圧蒸気滅菌器で134~135℃ 滅菌時間8~10分間で使用されている。

通常、高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)を用いて、被滅菌物の種類や材質に応じてそれに適した温度、時間等が適用されるが、チャンバ(内缶)の設定温度到達時間と被滅菌物のコールドスポットでの到達時間との間には、タイムラグがあることが多いので、事前に確認して運転条件の設定に反映しなければならない。チャンバ(内缶)に収納する被滅菌物の容積は、缶内体積の約60%を目安とし、詰め込み過ぎないようにする注意が必要である。湿熱滅菌法評価の指標菌にはGeobacillus stearothermophilus(ATCC 7953、NBRC 13737、JCM 9488、ATCC 12980、NBRC 12550、JCM 2501)などを用いる3)。温度・時間条件は、表Ⅱ-1のとおりである。

表Ⅱ-1 温度・時間条件(高圧蒸気減菌法)

条件 減菌器の種類 温度 時間
日本薬局方における条件 日本薬局方では重力加圧脱気式
高圧蒸気滅菌器及び真空脱気プリバキューム式
高圧蒸気滅菌器の区別はしていない
115~118℃ 30分間
121~124℃ 15分間
126~129℃ 10分間
一般的に医療施設で
実施されている条件
真空脱気プリバキューム式
高圧蒸気滅菌器
134℃ 8~10分間

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(2)乾熱法

適当な温度の乾熱空気中で加熱して、被滅菌物に存在する微生物を殺滅する方法である。高圧蒸気法に比して殺滅効果は劣るが、大規模な装置を必要としない利点があり、乾燥状態で滅菌操作が要求される場合に利用されている。通例、ガラス製、磁製、金属製等の熱に安定な被滅菌物を対象として、160~190℃の温度を用いて行われている(表Ⅱ-2)。本法による殺滅効果は、一般細菌や真菌は殺滅できるが芽胞形成菌のなかには、300℃、30分でも生残するものもあるので注意を要する。また、乾熱法は条件を変えることによってエンドトキシン除去法としても利用できる。250℃で少なくとも1時間の乾熱処理でエンドトキシンを破壊することができるとされている。乾熱滅菌法評価の指標菌にはBacillus atrophaeus(ATCC 9372、NBRC 13721)などを用いる3)

表Ⅱ-2 温度・時間条件(乾熱法)

温度 時間
160~170℃ 2時間
170~180℃ 1時間
180~190℃ 30分間

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(3)火炎法

火炎中で加熱することにより微生物を殺滅する方法である。最も確実な滅菌法であるが、被滅菌物を損傷するので、排泄物や実験動物などの処理法として用いられている。また、細菌検査室などで用いる白金耳などの滅菌にも利用されている。

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