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II 滅菌法・消毒法概説

3 消毒の分類

3)対象による分類-生体消毒薬(antiseptics)と非生体消毒薬(disinfectants)1、18、19、21、26、27、29)

消毒薬は消毒の対象物により、人体に適用する生体消毒薬(antiseptics)と、人体には適用しない非生体消毒薬(disinfectants)に区別できる。CDCのガイドラインなど米国の文献において“disinfectants”/“disinfection”と記述されている場合には、通常、非生体消毒薬/非生体消毒のみを指し、生体消毒薬/生体消毒を含まない。ただし英国においては“hand disinfection”など生体消毒であっても“disinfection”という用語を使う場合がある。

生体消毒薬には、患者の処置に用いる消毒薬と人体ではあるが患者ではない医療従事者の手指を消毒するものがあり、非生体消毒薬には人体に侵襲的に用いる器具に必要な消毒薬と、それ以外の非侵襲的な器具や環境等に用いる消毒薬がある。物理的消毒法は熱などを用いるため人体には適用できない。

日本においては、同一の消毒薬が生体、非生体をまたがる複数の効能・効果、つまり適用部位について承認されている場合が多いが、欧米においては、適用が生体であるか非生体であるかによって承認基準が異なり行政当局も別で、この区別がはっきりとしている場合が多い。そのためか、それぞれの用途にふさわしい製剤化や配合が行われた上でさまざまな消毒薬が市販されている。この違いは薬事行政の歴史の違いに起因すると思われるが、日本においては、複数の効能・効果が表示された消毒薬をその特性に応じて最も効果的な用途に適用するために、医療機関や医療従事者自らが特別の注意を払う必要があるといえよう。

各消毒薬の特性、欧米での使用状況や臨床成績、開発の経緯などを勘案すると、もっぱら生体消毒薬として使用するべき消毒薬として、クロルヘキシジン、ポビドンヨード、トリクロサンなどが挙げられる。また、非生体消毒薬としては、生体に適用できないグルタラールなどはもちろん、次亜塩素酸ナトリウム、クレゾール石ケンなどのフェノール系消毒薬、ベンザルコニウム塩化物などの第四級アンモニウム塩、両性界面活性剤などを挙げることができる。生体、非生体の両方において繁用すべきものとしては、消毒用エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系消毒薬が挙げられる。

消毒の対象物によって消毒薬を選択する際には、おおむね上述のような生体、非生体消毒薬の区分を念頭に置いて考察することが最も適切な選択に至る近道である。また、上述のような区分をはずれて消毒薬を選択した場合、欧米の臨床試験成績などを文献で知ることがほとんどできないため、消毒薬選択の科学的な根拠を示すことが比較的困難となる。したがって、特別な理由や根拠がある場合を除いては、おおむね上述のような区分に沿った消毒薬の選択を行うことが賢明である。

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