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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.19 No.4 Winter 2015

重症患者におけるクロルヘキシジン清拭と手指衛生遵守の影響

Martínez-Reséndez MF, Garza-González E, Mendoza-Olazaran S, et al.
Impact of daily chlorhexidine baths and hand hygiene compliance on nosocomial infection rates in critically ill patients.
Am J Infect Control 2014;42:713-717.

Chlorhexidine(CHX)は、細菌、カビ、そしていくつかのウイルスに対して活性のある局所消毒剤で、持続効果を発揮する。CHX清拭に関する幾つかの先行研究では、重症患者、特にグラム陽性菌に関連した中心静脈ライン関連血流感染(CLABSIs)などは、CHX清拭によって低減したと報告している。一方、手指衛生は病院関連感染予防の基本であるが、先行研究の多くは、CHX清拭と手指衛生を個別に評価していた。そこで今回、この両者の複合した介入策の効果を病院感染率、デバイス感染率、さらには検出細菌で評価した。
 調査施設は、モンテリー(メキシコ)の急性期病院(450床)で、対象者は当該施設の内科ICU(10床)と外科ICU(10床)に入室した全患者(除外:18歳以下、20%以上の熱傷患者、妊婦、CHXアレルギー)とした。期間は18ヵ月間で、介入前期の2012年1月~6月は今まで通りの石けんと水での清拭を実施。介入期の2012年7月~12月は、清拭に2%CHX含浸ワイプを、洗髪に0.12%CHX配合シャンプーを使用した。介入後期は2013年1月~6月で、介入前と同じ清拭方法を実施した。CHXの清拭方法は統一され、患者使用前に15秒間電子レンジで温めたCHXワイプを10枚使用し、粘膜に接触することなく足から顎まで全体的に清拭することとした。勤務時間の最後にはCHXワイプの空パックが計測された。洗髪方法も同時に指導され、これらの手順は毎日看護師長や部署の看護師が監督し定期的に評価された。手指衛生に関しては、小グループに分かれた全ICUスタッフに対して手指衛生教育がなされ、遵守状況は同じ担当者が朝2~3時間、午後2時間直接観察し結果をフィードバックした。このプログラムは介入期以降継続して行われた。
 結果、分析対象患者数は1,007名。病院感染率は介入前期に比べ介入期は有意に減少し(p=0.0004)、介入後期との比較においても同様だった(p=0.0109)。VAP、CAUTIs、CLABSIsの感染率も、介入前期に比べ介入期は有意に減少し(VAP;p=0.036、CAUTI;p=0.0001、CLABSIs;p=0.0713)、介入後期との比較においても同様だった(VAP;p=0.2557、CAUTI;p=0.0697、CLABSIs;p=0.0842)。さらに手指衛生遵守率は介入前期に比べ介入期は有意に向上した(p=0.0001)。介入期間中のCHX清拭遵守率は97%だった。細菌学的検討では、介入期と介入前期よりVAP検出菌の Acinetobacter baumannii(p=0.0204)とCAUTIs検出菌の Candida spp(p=0.0005)が有意に減少した。
 結論として、CHX清拭と手指衛生遵守率向上の複合的介入は、感染率を減少させた。特に、 A. baumanniiに関連したVAPと Candida sppに関連したCAUTIsが減少したことは特筆すべきことである。

(訳:菅原えりさ)

Carlisle Vol.19 No.4 p8-10 Winter 2015

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