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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.20 No.3 2015

顔への接触:手指衛生と関係する頻繁な習慣

Kwok YLA, Gralton J, McLaws ML
Face touching:A frequent habit that has implications for hand hygiene.
Am J Infect Control 2015;43:112-114.

手指は医療関連感染伝播における媒体と考えられており、呼吸器感染伝播に関係している。顔への接触頻度と黄色ブドウ球菌および他の一般的な呼吸器感染の伝播や自己接種に関する研究は限られている。本研究では、顔への接触と手指衛生の関係を理解するため、医学生を対象に顔を触る行動を調査した。
2010年5月、ニューサウスウエールズ大学の医学生を対象に行動観察試験を行った。医学生は感染制御に関連のない講義を受講時に、顔に触る行動をビデオテープに記録された。標準的スコアシートを用い、顔の粘膜や粘膜以外の部分に手が接触した頻度を集計し、解析した。合計26人の学生が観察され、240分間で顔に2,346回触れていた。そのうち56%(1,322/2,346)は顔の粘膜以外の部位に触れ、44%(1,024/2,346)は粘膜部に触れていた。1,322回の顔の粘膜以外の部位への接触では、あごが31%と最も多く、次いで頬が29%、髪28%、首8%、耳4%であった。1,024回の顔の粘膜部位接触では、口が36%と多く、鼻が31%、目が27%、複数の粘膜部位が6%であった。26人の学生の1時間当たりの顔への接触回数は平均23回(範囲4〜153回)で、平均接触時間は口が2秒(範囲1〜12秒)、鼻が1秒(範囲1〜10秒),目が1秒(範囲1〜5秒)であった。
鼻腔粘膜の黄色ブドウ球菌保菌率は20〜30%と報告されている。本調査対象者では鼻への接触が一般的に認められた。このことは患者や汚染環境の黄色ブドウ球菌を職業的に保菌することを防ぐ手段として、手指衛生が重要であることが示唆される。患者接触前後での手指衛生遵守率を高めることは、自己接種による病原微生物の伝播を減少し、同様に患者への接種も防ぐと考えられる。医学生が自身の顔を触る習慣を自覚し、伝播経路である自己接種を理解することは、手指衛生遵守の改善に役立つだろう。手指衛生は自己接種に伴う保菌と伝播を防ぐ本質的で安価な方法である。

(訳:豊口禎子)

Carlisle Vol.20 No.3 p8-10 2015

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