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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.21 No.3 2016

接触予防策対象患者の使用マットレスからの薬剤耐性菌の検出

Roberta EI Hariri Viana, Simone G dos Santos, Adriana C Oliveira
Recovery of resistant bacteria from mattresses of patients under contact precautions.
Am J Infect Control 2016;44:465-469.

医療関連感染に影響する病原菌の定着や伝播において、環境の関連する可能性が指摘されている。病院のマットレス表面は患者の皮膚由来の微生物、尿、創傷浸出液、糞便などの体液により汚染されており、清掃後でも微生物に汚染されている可能性がある。本研究では大学病院において接触予防策対象患者が使用したマットレスの薬剤耐性菌について調査した。
ブラジルの大学病院(547床)の9病棟(ICU、CCUを含む)において、2014年5月~7月の間、薬剤耐性菌の保菌あるいは感染症の患者が使用した51のベッドを対象とした。ベッドおよび環境清掃を行う前の早朝に、マットレス表面の上部(頭部)、中間部、下部(下肢部)の3カ所から検体を採取した。平均在院日数は41日、接触予防策実施期間は18日だった。
51%(26/51)のマットレス表面から検出された耐性菌は、Acinetobacter baumannii(73.1%)、Klebsiella pneumoniae(11.5%)、Pseudomonas aeruginosa(11.5%)、MRSA(7.7%)、VRE(7.7%)、Escherichia coli(7.7%)であった。耐性菌を検出したマットレスの80.7%(21/26)は1種類、19.2%(5/26)は2種類以上の薬剤耐性菌を検出した。マットレス表面下部からの細菌検出が最も多く(73.1%)、上部50%、中間部分42.3%であった。分離菌は、A. baumanniiの検出率が最も多く(19/26)、7病棟から検出された。また、13のマットレスは使用中の患者の分離菌と薬剤感受性が一致したが、7つのマットレスでは過去にそのマットレスを使用した患者の分離菌と感受性が一致し、これらの細菌は主にK. pneumoniaeP. aeruginosa、MRSAだった。
マットレス表面からの細菌検出は、病院のマットレスが病原菌の強力な貯蔵庫であることを改めて示唆している。マットレス表面下部から多くの耐性菌が検出されたことは、マットレスの清掃方法と関連していると思われる。すなわち、マットレスの清掃は通常、上部から下部方向に行われているが、これにより微生物は除去されずに移動していると考えられる。また、耐性菌によるマットレスの汚染割合はICUが最も高かった。複数の入院病棟において薬剤感受性の類似したA. baumanniiを認めており、これらの病棟間を細菌が循環していることが示唆された。医療施設における消毒や清掃のプロトコールを作成する際には、マットレスのような環境表面への注意が重要であると考える。

(訳:細谷 順、白石 正)

Carlisle Vol.21 No.3 p8-10 2016

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