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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.21 No.3 2016

集中治療室におけるカルバペネム耐性腸内細菌のアクティブサーベイランス:
非流行地域において費用対効果はあるのか

Ka-wai Ho, Wai-tong Ng, Margaret Ip, et al.
Active surveillance of carbapenem-resistant Enterobacteriaceae in intensive care units:Is it cost-effective in a nonendemic region ?
Am J Infect Control 2016;44(4):394-399.

カルバペネム耐性腸内細菌(CRE)は、集中治療室(ICU)において、高い罹患率と死亡率の原因となっている。われわれは、香港の医療供給者の視点から、非流行地域のICUにおけるCREのアクティブサーベイランスの費用対効果について調査した。
ICUにおけるCREのアクティブサーベイランスの結果をシミュレーションするため、決定分析モデルを用いた。評価基準は、CREに関連した直接医療費、感染率、死亡率、質調整生存年(QALY:quality-adjusted life year)の損失、アクティブサーベイランスによって救われたQALYあたりの増分費用とした。モデルへの入力データの収集はMEDLINEを用いた文献調査によって行い、モデル変数による不確実性の影響は感度分析によって評価した。
ベースケース分析の結果、アクティブサーベイランスを実施したグループは、コントロールグループに比較して、医療費は高かったが($1,260 vs $1,256)、コントロールグループよりCRE感染率(5.670% vs 5.902%)および死亡率(2.139% vs 2.455%)は低かった。また、CREに関連したQALYの損失もコントロールグループより小さかった(0.3335 vs 0.3827)。アクティブサーベイランスにより救われたQALYあたりの増分費用は、$81/QALYであった。一元感度分析により、ベースケース分析の結果は、モデルへの入力値によって左右されないことが確認された。また、10,000回のモンテカルロシミュレーションを実施した結果、アクティブサーベイランスグループの増分費用は99.98%の確率で支払意思額(WTP)の閾値を下回っていたことから、アクティブサーベイランスは推奨される選択肢であった。
以上より、非流行地域のICUにおけるCREのアクティブサーベイランスは、CRE感染率、死亡率、QALY損失を低下させるため、非常に費用対効果が良好であると考えられた。

(訳:橋倉万由子、木津純子)

Carlisle Vol.21 No.3 p8-10 2016

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