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Carlisle
医療関連感染情報季刊誌より
Vol.21 No.3 2016

家庭内の環境汚染とCA-MRSA再燃性感染リスクの関連

Knox J, Sullivan SB, Urena J, et al.
Association of Environmental Contamination in the Home With the Risk for Recurrent Community-Associated, Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus Infection.
JAMA Intern Med 2016;doi:10.1001

近年、家庭内の環境汚染が黄色ブドウ球菌感染症の再発リスクになることと、それに対する介入効果について議論されている。そこで、CA-MRSA感染症の再発リスクを増加させる家庭の環境汚染について前向きコホート研究を行った。
調査は、コロンビア大学医療センター(CUMC)の医療圏内に在住しているCA-MRSA感染症患者を対象に、2011年11月1日~2014年6月30日まで行われた。対象者は入院から72時間以内に提出された皮膚や軟部組織、血液、尿、または痰検体よりMRSAが検出された患者554名で、うち262名が選択基準を満たした。研究同意を得られたのはその中の83名(31.7%)で、最後まで研究に参加したのは62名(74.7%)だった。
同意を得られた被験者の家族と住居の環境表面よりベースラインデータとなる検体採取が行われた。家族からは、鼻腔、咽頭、鼠径部の擦過検体、環境表面からは決められた11箇所の擦過検体をそれぞれ採取し、同定は黄色ブドウ球菌特異的遺伝子の検出により判定した。また、Methicillin耐性は、メチシリン耐性遺伝子の存在で確認し、USA300種の判断はST8型に分類されたものとした。研究者および参加者にはこれらの分離菌の情報は秘匿された。
結果、対象者82名(1名除外)中53名(64.6%)が女性であり、平均年齢は30歳、全体の72%がヒスパニック系の患者であった。61名のMRSA感染症患者のうち、49名(80.3%)は流行株USA300だった。MRSA感染症患者のいる82世帯のうち20世帯(24.4%)で臨床分離株が存在し、62世帯(75.6%)では見つからなかった。35名(42.7%)がフォローアップ中に再発し、そのうち15名(42.9%)が入院を必要とした。環境との関連では汚染のあった20世帯からの再発患者は13名(65.0%)、汚染のなかった62世帯からは22名(35.5%)が再発したことから、環境汚染が有意に感染症を再発させることがわかった(p=0.04)。
今回の研究で、家庭内における環境表面の汚染はCA-MRSA感染症の再発と関連していた。特に感染症患者のいる家庭の清浄化は、将来のMRSA感染の防止戦略として考慮すべきである。

(訳:菅原えりさ)

Carlisle Vol.21 No.3 p8-10 2016

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